簿記を初めて勉強すると最初に出てくるのが貸借対照表です。
・貸借対照表
資 産300 | 負 債100 |
純資産200 |
貸借対照表は資産と純資産(資本)を区別するという点が特徴の一つです。
貸借対照表を理解する上で、両者の違いをおさえることは非常に重要です。
しかし、残念ながら純資産という概念がわかりづらいものになっているため、資産と純資産の違いも曖昧になりがちです。
そこで今回は、資産と純資産(資本)の違いについてわかりやすく解説をします!
資産と純資産の違いの説明
まずは定義を確認しましょう。
(資産と純資産だけでなく、負債についても確認をします。)
- 資産とは「会社が現在所有する財産」
- 負債とは「支払義務」
- 純資産とは「資産から負債を引いた差額」
この定義を前提に説明をします!
純資産は最終的に手元に残る金額
上記の定義について、資産と純資産の関係に着目してまとめてみると、
資産 ≠ 純資産
資産 - 負債 = 純資産
となります。
式から分かる通り、資産と純資産の違いを理解するために鍵となるのは負債です。
負債の定義は「支払義務」でしたが、支払義務を別の言葉で表現すると
「将来支払う必要がある金額」
となります。
よって、
資産 - 負債 = 純資産
この式を言葉に置き換えると、
「現在所有する財産」から「将来支払う金額」を引いた金額が純資産
となります。この言葉をじっくり考えてみると純資産の意味が見えてきます。
わかったでしょうか?
「現在所有する財産」から「将来支払う金額」を引いたもの、
それは、
最終的に自分の手元に残る金額
を意味するのです。
これが純資産の意味合いです。
資産と純資産を並べてみるとこうなります。
- 資産→現在所有する財産
- 純資産→最終的に手元に残る金額

なるほど!でも資産と純資産って名前が似すぎてて紛らわしいですね

純資産の「純」というのは、純粋の純と同じ意味で、「混じりけのない」という意味じゃ。現在所有する財産の額から負債を差し引いた金額が、純粋な資産の額ということじゃな
資産は具体的で、純資産は抽象的
またもう一つ別の視点から資産と純資産を比較してみます。
「資産」は現在所有する財産なので、具体的なものです。
「現金」は手元にあるお金、「売掛金」はお金を回収する権利、「建物」は店舗や事務所、というように資産には実態があります。
対して、「純資産」の意味は最終的に手元に残る金額ですが、結局は資産と負債の差額です
つまり純資産は差額の概念であるため、ある意味抽象的なものということもできます。
- 資産→具体的
- 純資産→抽象的(差額の概念)
資産と純資産どちらが重要か
会社の目的は純資産を増やすこと
資産も純資産も増えれば増えるほど、会社の規模が大きくなっていることを意味します。
では、どちらを増やすのが最終的な目的なのでしょうか?
それは、
「純資産」
です。
いくら資産が増えても、最終的に手元に残る金額が増えなければ意味がないのです。
そのため会社は純資産を増やすことを目的に経営活動をします。
資産は純資産を増やすための道具
「純資産を増やすことが大切」という観点から資産をみると、
資産とは、純資産を増やす道具
とも言えます。
会社が現金や商品や建物を保有する目的は、それを使って利益を稼ぐことです。
つまり、資産を使って利益を稼ぎ、そして純資産を増やしていくのです。
具体例でおさえる両者の違い
資産と純資産の違いについての結論は、上記の説明でもう済んでいるのですが、具体例を使って明確にイメージできるようにしましょう。
資産と純資産の違いがわかる具体例
例えば、株主から300出資を受けた直後の貸借対照表を作ると以下のようになります。
・貸借対照表
資 産300 | 負 債 0 |
純資産300 |
負債がないため、資産=純資産となっています。
この状態から現金が500増えたとしましょう。
仕訳にするとこんな感じです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 500 | ??? | 500 |
貸方を???にしましたが、この貸方は現金が増えた理由を表します。
この貸方について2つのケースを比較します。
ケース1:現金の増加理由が利益だった場合
増加理由が儲けによるものだった場合を仕訳にしてみます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 500 | 利益 | 500 |
簡便的に貸方を「利益」としました。利益の分だけ純資産は増加するので、この貸方は純資産を増加させます。
そのためBSを作ると以下のようになります。
・貸借対照表
資 産800(+500) | 負 債 0 |
純資産800(+500) |
今回のケースでは資産(現金)が500増え、純資産も500増えているため、資産=純資産となっています。
今持っている金額(資産)と、最終的に手元に残る金額(純資産)に相違がない状態と言うことです。
ケース2:現金の増加理由が借金だった場合
対して、現金の増加理由が借金だった場合の仕訳を書いてみます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 500 | 借入金 | 500 |
貸方の借入金は負債です。
この仕訳をBSに反映させると以下のようになります。
・貸借対照表
資 産800(+500) | 負 債500(+500) |
純資産300 |
資産(現金)が500増え、負債(借入金)も500増えています。
逆に純資産は変化せず300のままで、
資産800 ≠ 純資産300
となっています。
それもそのはず。
このケースでは手元のお金は増えていますが、これは借金によるものなので最終的に500は返済しなくてはいけません。
つまり、いま800持っていますが、将来500返済するため、最終的に手元に残る金額は300となるのです。
資産800 - 負債500 = 純資産300
式にするとこのようになります。

貸借対照表をイメージして考えると、資産と純資産の違いはわかりやすいね
最後に
貸借対照表を勉強すると、
資産 - 負債 = 純資産
という式を習いますが、
この式を単なる公式としておさえるのではなく、資産と純資産の違いを理解しておさえることが重要です。
ぜひ本記事で両者の違いをおさえてもらえれば幸いです。
本記事の応用編はこちら↓↓↓

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