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返品権付き販売の会計処理を理解する!(新収益認識に関する会計基準の解説)

返品権付き販売の会計処理収益認識
このノーツを書いた人
nobo(登川雄太)

CPA会計学院で公認会計士講座の講師をしています。会計が大好きで、どうすればわかりやすく教えられるかを日々考えています。
(略歴)慶應高校→慶應大学→在学中に公認会計士試験と日商簿記1級に合格→監査法人トーマツ→CPA&会計ノーツ開設

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今回は返品権付きの販売に関する会計処理についてわかりやすく解説をします。

従来、返品権付きで販売した場合、

  • 販売時に全額を「売上」に計上
  • 返品時に「売上から減額」
  • 翌期以降に予想される返品を「返品調整引当金」として計上

という処理を行っていました。

この処理は、収益認識基準により大きく変わることになります。

収益認識まとめ

返品権付きの販売における5つのステップ

具体例

  • @80円で仕入れたA商品を@100円で販売した。販売個数は50個である。
  • 当社の取引慣行では「A商品は1ヶ月以内に返品された場合には全額返金する」となっている。
  • 当社は販売した8%に当たる4個について返品されると見積もった。
  • 当社はA商品の返品による回収コストには重要性がないと見積り、また返品されたA商品は通常の販売価格で再販売できるものとする。

では、A商品販売時に計上される収益はいくら?

〔解答〕

A商品販売時の収益:4,600円

※今回の具体例は、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例11を参考にしています。

この結論を5ステップに当てはめて考えていきましょう。

5つのステップ&履行義務を理解する!(新収益認識に関する会計基準の解説)
収益認識基準のわかりやすい解説シリーズ - 5つのステップの考え方について図解を交えながらわかりやすく説明をします。(書いた人:CPA公認会計士講座 専任講師 登川雄太)
今回はステップ3が特に重要じゃぞ

ステップ1:契約の識別

収益認識ステップ1は契約の識別です。今回は返品権付きでのA商品の販売となります。

ステップ2:履行義務の識別

収益認識ステップ2は履行義務の識別です。

今回の履行義務はA商品の引き渡しになります。

返品権に関しては履行義務じゃないの?
履行義務というのは「相手に何かを渡す約束、もしくは、サービスを提供する約束」なのじゃ。返品はそういうものじゃないじゃろ?だから履行義務にはならないんじゃ。

ステップ3:金額の算定

収益認識ステップ3では取引価格を算定します。

返品権付きの販売の場合、販売当初5,000円(@100円×50個)を受け取ったとしても、返品された場合には返金しなければいけません。つまり返品の数量に応じて「企業が権利を得ることとなる対価の額」が変動することになります。これは変動対価です。

変動対価の基礎を理解する!(新収益認識に関する会計基準の解説)
収益認識基準のわかりやすい解説シリーズ - 変動対価について図解を交えながらわかりやすく説明をします。(書いた人:CPA公認会計士講座 専任講師 登川雄太)

変動対価の場合にはその変動を考慮したうえで対価の額を見積ります。

よって、今回の具体例では4,600円(@100円×(50個-4個))になります。

ステップ4:金額の配分

ステップ4ではステップ3の4,600円をステップ2の履行義務に配分します。

今回は単一の履行義務なので特に論点はありません。

ステップ5:履行義務の充足

収益認識のステップ5では、履行義務が充足されたタイミングで収益を認識します。

A商品の引き渡しは販売時に履行義務を充足するため、販売時にステップ4の4,600円を収益として認識します。

この結果、販売時の収益は4,600円となります。

よし!解答にたどり着いた

返品権付き販売の会計処理(仕訳)

結論をおさえたら、いまの具体例を前提に仕訳をみていきましょう。

今回は説明の便宜上、売上原価対立法を前提にします。

補足「売上原価対立法」

・60で買った商品を100で販売した場合

<購入時>
(借)商  品 60 (貸)現金60

<販売時>
(借)現  金100 (貸)売上100
(借)売上原価 60 (貸)商品60

仕入時に商品という資産を計上して、販売時に売上原価に振り替えるんだね

取引と仕訳

@80円でA商品を50個仕入れた。

借  方金額貸  方金額
商品4,000現金4,000

 

購入したA商品50個を@100円で販売した。

売上の計上
借  方金額貸  方金額
現金5,000売上4,600
返金負債400
商品の売上原価への振替
借  方金額貸  方金額
売上原価3,680商品4,000
返品資産320
返金負債400?返品資産320?

返品には2つの側面があります。

1つは、返品に応じる際に顧客に返金をする義務があるという側面。
もう1つは、返金すると同時に、顧客からA商品を回収する権利があるという側面。

前者は「返金負債」として負債に計上し、後者は「返品資産」として資産に計上します。

返品資産の計上により、売上原価への振替額は3,680になっておる。これは@80×46個の3,680と同額じゃ。つまり返品されない部分が売上原価となるんじゃな。ただし、そうならないケースもあるので要注意じゃ。次で説明するぞ

返品関連コストの取扱い

返品に係る送料を当社の負担とする場合や、返品された商品を再梱包するためのコストなど、返品に関連したコストが生じることがあります。このようなコストは返品資産の金額から控除されます。

仮に、以下の指示があった場合、

・当社はA商品の返品による回収コストが返品1個当たり10円かかると見込んでいる。

当初の返品資産320から返品コスト40(@10×4個)を引いた280が、返品資産の計上額となります。また返品資産の額が40減少した分だけ売上原価の金額が40増加します。

仕訳を確認しましょう。

商品の売上原価への振替
借  方金額貸  方金額
売上原価3,720商品4,000
返品資産280
返品資産が減少して売上原価が増えるんだね。売上原価が増えるのはちょっと変な感じ
そういうものなのじゃ。売上原価は差額で計算されることになるのじゃ。

返品権付き販売のまとめ

返品権付きで販売した場合には、

  • 収益の額は、返品見込額を控除する。
  • 受け取った対価と収益の額の差額は返金負債として処理する。
  • 返品が見込まれる商品の帳簿価額は返品資産として処理する。
  • 返品関連コストがある場合、その金額は返品資産から控除する。
  • 売上原価の金額は返品資産との差額となる。

という点がポイントです!

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収益認識を解く #3 |オリジナル問題
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収益認識まとめ

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