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原価回収基準を理解する!(新収益認識に関する会計基準の解説)

原価回収基準の解説(収益認識基準) 収益認識

収益認識の基準には、原価回収基準という方法があります。

この原価回収基準はその方法自体は難しくはないのですが、理解がしづらい方法となっております。

そこで今回は、

  • 原価回収基準とは何か?
  • どうして原価回収基準で収益認識をするのか?

について解説をします。

収益認識まとめ

原価回収基準は工事完成基準に代わるもの

そもそも原価回収基準って何の論点なの?

原価回収基準は、従来の「工事契約に関する会計基準」における「工事完成基準」の論点と言えます。

収益認識基準により工事契約の基準は廃止になるため、工事完成基準の適用は原則としてできなくなります
その代わり(?)に適用されるのが、この「原価回収基準」なのです。

進捗度を見積もれない場合に原価回収基準を適用する

また、収益認識の基準でいうと、原価回収基準は5つのステップの中の、「ステップ5(履行義務の充足による収益の認識)」に関する論点です。

5つのステップ&履行義務を理解する!(新収益認識に関する会計基準の解説)
収益認識基準のわかりやすい解説シリーズ - 5つのステップの考え方について図解を交えながらわかりやすく説明をします。(書いた人:CPA公認会計士講座 専任講師 登川雄太)

ステップ5では、履行義務が

  • 一時点で充足されるのか
  • 一定期間にわたり充足されるのか

を判定します。

一定期間にわたり充足される履行義務に該当するとなった場合、当期の収益は進捗度を見積もって認識をすることになります。

具体例進捗度の見積もり

  • 工事の請負金額は1,000
  • 総原価の見積額は400
  • 当期の工事原価の発生額は100

この場合、当期の進捗度は25%(=100÷400)

よって、収益の認識額は250(=1,000×25%)

従来からある、工事進行基準と同じだね

このように、工事契約の場合には工事原価の発生額によって進捗度を算定します。

ということは、上記の具体例から明らかな通り、進捗度は総原価の400が見積もれていることが前提となります。

 

しかし、工事の始まった当初では総原価が見積もれていないこともあります。
総原価がわからなければ進捗度は見積もれないことになります。
進捗度が見積もれなければ収益を認識できません。

この場合にどうするかというと、「原価回収基準」により収益を認識することになるのです。

ポイント

  • 原価回収基準は、「一定期間にわたり充足される履行義務」のうち、「進捗度を見積もれない場合」の論点
参考進捗度の見積方法

進捗度の見積方法には「アウトプット法」と「インプット法」の2つがあります。
上記のように発生した原価に基づき算定するのはインプット法です。
本記事では発生原価に基づいたインプット法を前提で説明をします。

前置きは以上じゃ。ここからは具体的な原価回収基準の説明じゃ

原価回収基準では、原価の発生額を収益とする

まずは収益認識基準にある定義を確認しましょう。

原価回収基準とは、履行義務を充足する際に発生する費用のうち、回収することが見込まれる費用の金額で収益を認識する方法をいいます。
収益認識会計基準|第15項

定義だけだとイメージがわかないので、先に具体例を用いて結論を確認しちゃいます。

具体例原価回収基準

  • 工事の請負金額は1,000
  • 総原価の見積額は不明である
  • 当期の工事原価の発生額は100
  • 発生した原価100は全額回収が見込める

この場合、当期の進捗度は見積もれないため、原価回収基準により収益を認識する。

原価回収基準の場合、収益の認識額は100(=原価発生額)となる。

ポイント

  • 原価回収基準はによると、「収益=発生原価」となる
発生した原価の金額が収益になる???
直感的にわかりづらいんじゃが、実のところそんなに難しいものではないんじゃ。ここからは、考え方についての説明じゃ

回収することが見込まれる費用

定義の中に「回収することが見込まれる費用」という文言がありました。

「費用を回収する」というのは、簡潔に言えば「その費用の金額(もしくはそれ以上)の収益を獲得する」ということです。

商品売買を例にしてみます。

具体例費用の回収

100で購入した商品を150で販売した

この場合には、100の費用を全額回収できています。

100で購入した商品を80で販売した

この場合には、100の費用の内、80しか回収できていません。

このように、「費用をかけて収益を獲得する」という視点から考えると、収益を獲得するということは費用の額を回収していると言えるのです。

そして、費用を全額回収し、それを超えた金額が利益になるのです。

「かかった費用の金額と同じ金額だけ、最低限お金を獲得しなきゃ損しちゃう!」っていう普通の感覚を、「費用を回収する」って表現してるんだね

改めて具体例を確認すると、さっきの具体例では、

「発生した原価100は全額回収が見込める」

という一文が入っていました。

つまり、かかった100以上は収益が獲得できると見込んでいるということです。

実際に請負金額は1,000なので、工事が完成しないと言ったよっぽどのことが無い限り100は回収できそうです。

この場合には、発生原価の100で収益を認識します。

そうなんだ!…でも、まだ費用の額で収益を認識する理由がわからないな

発生額で収益を認識する理由

費用の発生額で収益を認識する理由は、2つのP/Lを比較するとわかりやすいです。

  1. 原価回収基準を適用しない場合
  2. 原価回収基準を適用する場合

これら2つのP/Lを作成すると次のようになります。

1のP/L 2のP/L
収益 0 100
費用 0 100
利益 0 0

※数値例は先ほど具体例と同じ(原価の発生額100、進捗度は見積もれないケース)

1の場合には、進捗度を見積もれないから収益はゼロになるんだ。2の場合には、原価回収基準だから費用の発生額で100だね
1は収益も費用も認識しとらん。イメージは従来の工事完成基準と同じじゃな

ここで考えるべきは、「この2つのP/Lの内、どちらの方が適切か」ということです。

 

この点に関しては、収益認識の基準には以下のように記載されています。

履行義務の充足が進捗しているという事実を反映するために一定の額の収益を認識すべき
収益認識会計基準|第153項

収益認識の基準が大事にしているのは、「履行義務の充足によって収益を認識する」という考え方です。

【初めての収益認識】新収益認識基準を勉強するなら、まずはここから!概要をわかりやすく解説

この考え方を最優先すると、1よりも2のP/Lの方が適切となります。

なぜなら、進捗度を見積もれていないだけで、実際には工事は進捗しており、その分だけ履行義務も充足しています。

しかし、1のP/Lにしてしまうと履行義務が充足している点が全く反映されないのです。

1のP/Lだと、工事が一切進捗していないのと同じになっちゃうんだ!

 

対して2のP/Lはどうでしょうか。

原価の発生額で収益を認識することで、履行義務を充足している事実が、少なくとも1のP/Lよりも表現できています

これが原価回収基準の論拠です。

最後に

原価回収基準は従来の工事契約にはなかった方法で、しかも、直感的にはわかりづらいものとなっています。

本記事で説明したとおり、

  • 収益認識の基準では、履行義務の充足による収益認識を重要視している
  • 原価回収基準を適用しなかった場合と比較して考える

この2点を意識することで、原価回収基準を理解することができるかと思います。

参考工事原価の総額が後日、判明した場合

今回は原価回収基準自体の説明をしましたが、実際には、後日に原価総額が判明することがあります(むしろ、これが通常だと思います)。

この場合には、その時点で原価回収基準を終了し、工事進行基準を適用します。

収益認識まとめ

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会計ノーツ 編集長
nobo

会計ノーツ編集長のnoboです。普段はCPA会計学院で公認会計士講座の講師をしながら、会計の教え方を日々研究しています。
公認会計士試験、日商簿記1級に合格済みです。

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