こんにちは!
今回は「売上高」と「売上収益」の違いについて解説をします!
下記の記事で消化仕入れに関連して総額表示から純額表示への変更について説明をしました。

こちらの記事の最後で、丸井グループの決算短信をご紹介しています。
この決算短信1ページ目の中央に以下のような記載があります。
当連結会計年度より、消化仕入取引に関する売上高を総額表示から利益相当額のみを売上に計上する純額表示へ変更しております。また、「売上高」の表示を「売上収益」へ変更しております。
太字にしましたが、消化仕入れに関して総額表示から純額表示への変更に伴い、
「売上高」から「売上収益」へ
表示を変更しています。
売上高も売上収益も商品販売に関する項目です。
しかし、その意味合いには差異があります。
売上高の「高」には、売った「量」というニュアンスがあります。
「売上高100万円」というのは、商品を100万円分販売したことを意味するのです。
対して「売上収益」ですが、売上収益自体に明確な定義はありません。ただ、一般的には「サービスの提供に係る収益」を意味します。
この点、消化仕入れについて考えてみると、消化仕入れは代理人としての取引でした。

代理人の場合は、「商品を販売した」とは考えません。
代理人は、他の会社が商品を売れるように、場所や機会を提供し、その代わりに手数料を受け取るというビジネスです。
手数料ビジネスの場合には商品を売っているわけではないので「売上高」という表現は馴染まないのです。
マルイは総額表示から純額表示へ変更しました。その意味合いは、マルイのビジネスは「商品を仕入れて販売」ではなく「テナントによる手数料ビジネス」であることを明確にしたものです。
そのため「売上高」から「売上収益」へ変更したのだと考えられます。
今後、新収益認識基準の適用にあたり、百貨店業界や商社などを中心に総額表示から純額表示への変更が増えると予想されます。
その際に、「売上高」から「売上収益」への表示科目の変更も同時に行われると思われます。
・総額表示→純額表示
・売上高→売上収益
これはセットで変更される可能性が高い
さらに、ビジネスモデルとしても、手数料ビジネスやサブスクリプションモデルなどが増えています。
そのため今後は「売上収益」という科目が増えていくのではないでしょうか。
なお、現在公表されている収益認識基準の155項には以下の記載があります。
サービスの提供による収益や企業が代理人に該当する場合など、本会計基準に従って認識される収益の表示科目を明確化すべきであるという意見が聞かれた。この点、現在、表示科目として一般的に用いられている売上高は、他の関連する法令等においても広く用いられているものであり、仮にその名称を変更する場合には影響が広範に及ぶこと等から、収益の表示科目について、注記事項と合わせて本会計基準が適用される時(平成 33 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)まで(準備期間を含む。)に検討することとした。
長々と引用しましたが、
サービス提供や代理人の場合は「売上高」とは別の名称を使うべきだけど、どうするかは未定
ということが書いてあります。
名称変更をするか否かが確定するまでは現在の実務で用いられている「売上収益」や「営業収益」を継続することになっています。
コメント