- 契約負債とはなんですか?
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前受金のように、「対価は受け取ったけど、商品を渡してない場合の負債」のことです。
解説
まずは、基準を確認しましょう。
「契約負債」とは、財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったもの又は対価を受け取る期限が到来しているものをいう。
収益認識基準11項
なんか難しそう…
難しくみえますが、太字の部分をざっくり読むと、
- 商品を顧客に移転する義務がある
- 顧客から対価を受け取っている
これが契約負債です。
- 本記事では、読みやすいように「財又はサービス」を「商品」と置き換えて説明します。
契約負債の典型例は「前受金」です。
前受金は、
- 手付金を受け取っており、
- 商品を渡す義務がある
場合の負債なので、まさしく契約負債の一種です。
契約負債ってそういうことか!意外とシンプルだ!
前受金の他にも、「商品券の発行」も契約負債に該当します。
確かに商品券も先に現金を受け取る取引だね。前受金や商品券が契約負債って考えると、全然難しくないな
ただ、まだあります。
「ポイントの付与」も契約負債が生じる取引になります。
ポイントの付与…!?
- 販売金額100円につき10ポイント(10円分)を付与している
- 付与したポイントはすべて使用されると見込んでいる
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当期の取引→顧客に商品を100円で販売し、10ポイント付与した
日常でもよくあるシンプルな取引ですが、
ポイントの付与は次のように捉えます。
ポイントの付与=「ポイントと引き換えに商品を渡す義務」
確かに、ポイントは「商品を渡す義務」と捉えることができるな…
そして、対価は先に受け取っています。
つまり、
- 商品を渡す義務があり、
- 対価は受け取っている
という構図は、前受金や商品券と同じなのです。
よって、付与したポイントは契約負債となるのです。
難しい…けど、言われてみればそんな気がする
確かに複雑に思えますが、
契約負債=対価は受け取ったけど、商品を渡してない場合の負債
という点は意外とシンプルです。
「契約負債は難しい」ではなく、「契約負債は簡単だ!」と思うようにしましょう!
ポイントの詳しい会計処理は下記の記事を参考にしてください。また、製品保証でも契約負債は生じます。
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ところで、勘定科目はどうなるの?
適用指針には以下の記述があり、貸借対照表における表示科目は、適切なものを会社が選択することになっています。
会計基準第 79 項は(中略)契約負債(中略)を、適切な科目をもって貸借対照表に表示することとしている。(中略)契約負債については、例えば、契約負債、前受金等 として表示する。
(収益認識適用指針104-3)
適用指針の設例では、ポイントの設例で「契約負債」という勘定科目が登場しています。
ただ、このあたりは実際の各社の開示例を確認する必要がありそうです。
(ちなみに、財務諸表等規則第47条では、契約負債と前受金を区別しています)
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