- その他有価証券から評価損が生じた場合に、なぜ繰延税金資産が計上されるんですか?
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他の繰延税金資産と同様です。つまり、税金を減額させる効果があるからです。
解説
- その他有価証券の取得原価:400
- その他有価証券の期末時価:300
- 法定実効税率:30%
- 会計処理は全部純資産直入法による
値下がりが100生じているケースです。
決算整理仕訳は次のようになり、繰延税金資産が30計上されます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延税金資産 | 30 | その他有価証券 | 100 |
その他有価証券評価差額金 | 70 |
上記のとおり、全部純資産直入法の評価損の場合、繰延税金資産(DTA)が計上されます。
以下、繰延税金資産をDTAとします
このDTAの意味合いは他のDTAと同じです。
つまり、将来の税金を減額させる効果が30あることを意味しています。
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次の具体例(さっきの続き)をみて下さい。
- その他有価証券を翌期首に300で売却し、売却損が100生じた
- 他の取引から、利益が500生じているものとする
①その他有価証券を売却した場合の税金
税金:(500−100)×30%=120
このとおり、法人税等の税金は120になります。
では、もしその他有価証券を売却していなかったら(売却損がなかったら)、税金はどうなっていたでしょうか?
②その他有価証券を売却していなかったら
税金:500×30%=150
法人税等の税金は150になります。
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①と②の税金を比較すると、売却することで税金が30減額されることがわかります。
税金が減額された要因は、その他有価証券の売却損100です。
つまり、その他有価証券が値下がりした場合、将来それを売却することで「値下がり額×税率」だけ税金を軽減する効果があるのです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延税金資産 | 30 | その他有価証券 | 100 |
その他有価証券評価差額金 | 70 |
その他有価証券の値下がりに税金軽減効果があるので、他の差異と同様にDTAを計上することになるのです。
つまり、他のDTAの計上理由と何ら変わらないのです。
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