金利スワップとヘッジ会計を理解する②(公正価値ヘッジ)

下記の記事で金利スワップに関するキャッシュ・フローヘッジについて解説をしました。

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内容は、金利スワップを用いて変動金利を固定に変えてヘッジするというものでした。

今回はその逆バージョンになります。
すなわち、固定金利の借入金を変動金利に変えるというスワップについて図解を用いてわかりやすく解説をします。

直感的なイメージとは反しますが、この固定を変動にかえるスワップもヘッジ取引になります。

目次

固定金利のリスク

スワップによるヘッジの説明の前に「固定金利の借入金が抱えているリスク」について説明をします。

具体例

①借入時
当社は金利5%(固定金利)で長期の借り入れを行った。
借入時の市場の変動金利も5%であった。

②1年後
ケース1:1年後の市場の変動金利は8%(金利が上昇)
ケース2:1年後の市場の変動金利は2%(金利が下落)

さて、この固定金利5%の借入金は1年後にどうなるでしょう?

ケース1:変動金利が上昇した場合

固定金利5%の借入れは、相対的に有利な借入金となる

上昇した3%分だけ、固定金利の借入れは有利な契約になったと捉えることができます。

なぜなら、もしいま新規で借り入れを行った場合には8%の金利を払わなければいけないところ、1年前に5%の固定金利で借り入れているので、結果的に3%得をしていると考えられるからです。

ケース2:変動金利が下落した場合

固定金利5%の借入れは、相対的に不利な借入金となる

下落した3%分だけ、固定金利の借入れは不利な契約になったと捉えることができます。

なぜなら、もしいま新規で借り入れを行った場合には2%の金利で済むところ、1年前に5%の固定金利で借り入れているので、結果的に3%分損をしているのです。

ボブ(勉強中)

固定金利の借入金は、変動金利が上がれば得をして、下がれば損をするということなんだね。

おじさん(先生)

そうじゃ。変動金利が上下することで、固定金利の借入金の価値も上下してしまうのじゃ。これが固定金利のリスクじゃ。

金利スワップによる公正価値ヘッジ

固定金利のリスクはイメージできたでしょうか?

このリスクをヘッジするのが冒頭の金利スワップです。

この通り、変動受取、固定支払のスワップをすることで、固定金利を変動金利に変えることができます。

その結果、市場の変動金利が上下してもその分当社の払う金利も上下するので、先程のリスクをヘッジすることができました。

よって固定金利を変動金利に変えるのもヘッジ取引となるのです。

ボブ(勉強中)

借入金の価値が上下するリスクをヘッジするから、公正価値ヘッジなんだね

まとめ

最後に本記事の内容をまとめておきます。

公正価値ヘッジのまとめ

固定金利の借入金:変動金利が上下することで、借入金の価値が上下するリスクを抱えている
→公正価値ヘッジを行う

変動金利の借入金:変動金利が上下することで、支払う金利が上下するリスクを抱えている
→CFヘッジを行う

おじさん(先生)

価値変動リスクとキャッシュフロー変動リスクの2つはちょうど真逆の概念なのじゃ。だから、この2つを同時にヘッジすることはできないぞ。

なお、会計処理はキャッシュ・フローヘッジと同様に繰延ヘッジまたは特例処理となります。

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仕訳自体はこの記事で詳しく解説をしているのでどうぞ参考にしてください。

おまけ

おじさん(先生)

この記事はわかりやすかったかの?

ボブ(勉強中)

うん!もっと会計のこと学んでみたいな!

おじさん(先生)

それなら、会計ノーツの公式本がおすすめじゃ。
その名も「世界一やさしい会計の教科書」じゃ!

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読み終えた頃には、「よくわかって、楽しかった!」と思えるはず! 

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 分かりやすい記事有難うございます。
    公正価値ヘッジの「借入金の価値が上下するリスク」という点について質問があり、コメントさせていただきます。
    市場金利の変動で借入金の市場価値が影響されることは理解できますが、実際の返済額が変動するわけではないのでリスクヘッジを行う理由がわかりません。
    100万円、金利5%、5年間で借り入れを行った場合、いくら市場金利が変動しても返済額は100万円ではないでしょうか?そもそも社債はヘッジ対象としなければ償却減価で評価するはずなので、時価評価するという議論には至らないと思うのですが。。。(ヘッジ対象としたせいで時価評価が必要となり、リスクが発生するという変な理論になっている気がしてこんがらがっています)。
    お手数ですが、上記についてご説明頂けると幸いです。

    • コメントありがとうございます。
      回答が遅くなり申し訳ありません。
      (回答が届けばいいのですが)

      >100万円、金利5%、5年間で借り入れを行った場合、いくら市場金利が変動しても返済額は100万円ではないでしょうか?

      これはそのとおりです。

      変動金利関係なく、仕訳上は、支払利息は毎期5万円、返済額は100万円です。

      これは仕訳(財務会計)の限界です。

      https://cpa-noborikawa.net/ishitsu-cfmitumoriho/

      この記事でも書いたのですが、仕訳では、有利な契約・不利な契約が表現できません。(固定金利5%の借り入れをした場合において、変動金利が2%になっても、8%になっても、仕訳は変わりません)

      そのため、仕訳ベースで考えても理解ができないのです。

      理解するために必要な発想は、財務会計ではなくファイナンスになります。

      ただファイナンスを勉強しなくても、感覚的には理解できるのではないでしょうか?

      固定金利5%で借り入れた後に、変動金利が2%になったらなんか悔しく感じますよね。
      その悔しさをヘッジするのが、公正価値ヘッジなのです。

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