あぁっ…財務会計論って色んな規定がありすぎて、自分には到底覚えられる気がしない
なにボブ?財務会計論は覚えることが多すぎて限界を感じている・・・逆に考えるんだ「基準の背景をおさえられれば、体系的におさえられる」と考えるんだ
こんにちは!
今回は、財務会計論を苦手にされている方、特に「覚えることが多すぎる…」と感じている方向けにアドバイスします!
本記事の内容を意識して勉強すれば、きっと財務会計論を体系的におさえることができるはずです!
基準の背景をおさえよう!
財務会計は、
- 金融商品会計に関する会計基準
- 税効果会計に係る会計基準
- 固定資産の減損に係る会計基準
などなど、テーマごとに会計基準があり、その会計基準の中に各規定があります。
そのうえで、最終的におさえなくてはいけないのは各規定です。
例えば、有価証券なら、「金融商品会計基準」の中に「売買目的有価証券の処理、満期保有目的債券の処理」など各規定があるんじゃ。
これを前提に、1点大切な視点があります。
それは、これら個々の規定はそれぞれが無秩序に存在しているわけではない、ということです。
基準には大きな考え方(本記事では、これを「背景」と表現します。)があります。
そのうえで、個々の基準はその背景に基づき定められています。
つまり、各規定は共通の背景を持つ一貫した規定になっているのです。
そのため、背景を意識して各規定をおさえることで、個々の規定も負担なくおさえることができるのです。
具体的には、
- 各規定が納得しておさえられる(理解が深まる)
- 試験で初見の問題がでても、その場で考えられる
という効果を望むことができます。
基準の背景に基づき、各規定があるため、基準の背景をおさえることが重要!
でも、基準の背景って具体的にどういうものがあるの?
それについては、以下で実際の基準を例にして解説しよう
各基準の背景
金融商品会計
金融商品は価値変動が大きいから、基本的に時価評価したい(リスクを財務諸表に反映させたい)!
有価証券、金銭債権、デリバティブといった金融商品は価値変動リスクが大きいです。
そのため、そのリスクをB/S・P/Lに反映させるような会計処理が多く定められています。
また逆に、満期保有の債券のように、金融商品だけど時価評価しないものは、例外的な存在なので色々な要件が定められています。
- 時価評価をしない満期保有目的の債券は、金融商品会計では例外的な存在なので色々と厳格(満期にするための要件、売却した場合の強制的保有目的の変更など)
- その他有価証券はすぐに売却予定がなくても、時価評価はしてB/Sで時価を開示する
- デリバティブは原則時価評価してP/Lに損益計上する。P/L計上しないヘッジ会計は特別な会計処理という位置づけ
研究開発費・ソフトウェア
収益の獲得可能性は高くないから、なるべく費用計上したい!
会計は、研究開発費やソフトウェアといった無形のものを資産計上することを嫌います。
そのため、なるべく費用計上させるための会計処理が多く定められています。
- 研究開発費は全額費用
- 自社利用・市場販売目的ともに、ソフトウェアの資産計上できる範囲が限定されている
- 資産計上したソフトウェアの償却年数は短めに設定(3年や5年以内)
- さらに、資産計上したソフトウェアは早く償却したいから、残存有効期間で除した金額を下回らないようにする
- そのうえ、資産計上したソフトウェアに関して減損の規定あり
リース会計
- 経済的実態が売買なら、資産計上したい!
- けど、売買とリースはちょっと違うからその辺は考慮する。
リースは経済的実態を重視した会計処理を目指しています。
そのため、形式はリースでもファイナンス・リースに該当するなら資産計上します。
ファイナンス・リースは基本購入と同じ処理ですが、購入した場合とリースでは少し違う部分がある(特に所有権移転外)ので、その差異を考慮した会計処理になっています。
- ファイナンス・リースかどうかの判定は購入と近しいかどうか(購入した場合と金額は近い?使用できる期間は同じくらい?)
- 購入した場合とちょっと違うので、リース資産・債務の計上額は2つの金額を比較して計上する(資産が過大計上にならないように低い金額にする)。
- 所有権移転外はリース物件を返却することを前提に、減価償却費を計算する
税効果会計
- 将来の税金軽減額(または増加額)をB/Sに反映させたい!
- でも、繰延税金資産は危険だからその資産性は要注意!
将来の税金の影響を貸借対照表に反映させるために、繰延税金資産(または負債)を計上します。
そのため、将来の課税関係を考えるのが税効果会計です。
また、繰延税金資産はその資産性が怪しい資産です。
そのため、繰延税金資産の資産性は常に見張っておく必要があります。(詳しくは下記リンク参照)
- 将来減算一時差異がある場合は繰延税金資産を計上する
- 将来の税金の影響をB/Sに計上するために、使用する税率は将来の税率を使う。よって、もし税率が変更された場合、変更後の税率となる
- その他有価証券の時価の変動は、将来の課税関係に影響するため、繰延税金資産(または負債)を計上する
- 繰延税金資産の回収可能性は毎期検討を行って、回収可能性がないなら資産計上しない
連結会計
- 企業集団としてのB/S、P/Lを作りたい!
- 利益と資本の額は持分計算をちゃんとやって、親会社株主への帰属額を表したい!
- 非支配株主との取引は資本取引となる!
連結会計は企業集団全体の財務諸表を作成することを基本としています。
ただ、企業集団の株主には親会社株主と非支配株主がいるため、株主への帰属先を明確にするようにします。
- 親会社と子会社の財務諸表を合算して作成する。
- 企業集団内の取引はないものとして扱う(相殺したり、利益を控除したりする)
- 利益も資本も非支配株主に帰属する額は、別個に表示する
- 連結上の株主資本は親会社株主帰属分のみとなる
- 追加取得や一部売却では利益は動かず、資本剰余金が変動する
企業結合会計
- 企業結合は相手の会社を「取得」すること!だから、のれんを正しく計算したい。
- 基本は連結財務諸表と同じ結論にもっていきたい。
合併、株式交換、株式移転といった形態に関わらず、企業結合は「相手企業の取得」と捉えて会計処理をします。
相手企業を取得した場合には、のれんが計上されますが、こののれんをちゃんと計算しようという規定が多くあります。
- 受け入れた資産負債はすべて時価で計上する
- 被取得企業で資産計上されていなくても、価値があるなら資産計上する
- 取得の対価が現金でも新株でも自己株式でも、はたまた抱合せ株式があっても、取得原価は企業結合時の時価で計算する
- 取得関連費用はのれんを構成させないように費用計上する
減損会計
- 固定資産の回収可能性がなくなったら損失計上しよう!
- でも将来の見積りは大変だし、不確実性があるから、むやみやたらに損失計上しないようにする。
- もし確実に減損しているなら、損失はしっかり計上する!
時価評価しない固定資産でも、回収可能性がなくなったら損失を計上させるのが減損会計です。
しかし、時価がない固定資産の減損は、将来の見積りが多く入り込むため不確実性があります。
よって、むやみやたらに損失を計上しないよう、減損が確実な場合にのみ計上するようにします。
また、実務の負担も考慮します。
- 減損の兆候をみて、兆候がある場合(減損してそうな場合)にのみ、減損会計を適用する。兆候がなければ将来の見積りは不要。
- 兆候があっても、確実に減損している場合にのみ損失計上したいから、その判定をする
- 判定の際は、まだ減損しているかわからないから、見積が外れるリスクは反映させない
- 減損の測定時は、リスクを反映させる
- 減損損失の戻し入れはしない
退職給付会計
- 内部積立でも外部拠出でも、現在時点における負債を計上したい!
- けど、退職金の支払いはだいぶ先だから、時間価値を考慮しよう。
- 退職給付のせいで損益の変動が大きくなりすぎることは避けたい。
確定給付の退職給付は内部積立と外部拠出の2つありますが、どちらであっても負債を計上するのが退職給付会計の特徴です。
また、退職給付は極めて長期の債務であるため、見積計算(数理計算)や時間価値を考慮して算定します。
また、退職給付は、
- 金額が大きくなりがち
- 見積り計算なので差異が生じる場合がある
ので、退職給付による損益の変動が大きくなりすぎないようにする必要もあります。
- 内部積立、外部拠出関係なく、どちらも退職給付見込額から退職給付債務を計算する
- 退職給付債務の算定は割引計算する
- 外部拠出の場合、退職給付債務から年金資産を控除して引当金を計算する
- 差異が生じた場合には遅延認識する
最後に
財務会計論は、会計学という体系がしっかりしている学問です。
今回はその点を意識できるような記事にしました。
会計ノーツでは、今後もその点を意識できるような記事を作成することを心がけていきます。
コメント
コメント一覧 (2件)
cpa生です!
初めてこのブログを見ました!
言葉を噛み砕いて説明してくださっているおかげで、とても分かりやすかったです。
これからも更新楽しみにしています!
コメントありがとうございます!
会計士試験、ぜひ合格しましょう!
(CPA生なら、質問あればCPA日吉校までどうぞ〜👍)