はあ、何回も復習したから仕訳はちゃんと書けるのに、本番になると解けないな…
なにボブ?仕訳は書けるのに解けない・・・逆に考えるんだ「仕訳に頼った勉強法から脱却できれば、解けるようになる」と考えるんだ
財務会計論・計算で点数伸びない方の相談や質問を受けてると、「財務会計論じゃなくて、簿記を勉強しちゃってるな」と感じる時があります。特に短答では簿記的な学習法ではいくら勉強しても点数はあがらないので「簿記からの脱却」が必要。
近々このへんについてもう少し詳しくブログ書いてみます(^-^)— 登川雄太 (@nobocpa) 2018年12月16日
昨日のこのツイートが思ったより反響が大きかったため、予定より早く記事をあげることにしました。
ぜひ公認会計士試験受験生、特に短答式に向けて財務会計論が伸び悩んでいる方に参考にしてもらえればと思っています。
簿記と財務会計論の違い
そもそも簿記と財務会計の区別をしていない方も多いと思います。簿記と財務会計の違いについては、CPAのWEBサイト上で会計と簿記の違いは?簿記を得意にする勉強法!という記事を公開してますのでぜひこちらも参考にしてください。
本記事では以下で簡単に説明します。
簿記とは
帳簿記入の略が簿記であることからわかるとおり、簿記を一言で表現するならば、「仕訳とその集計」です。
例えば減価償却を例にすると、
減価償却費100/減価償却累計額100
という仕訳をできるようにするのが簿記で、言い換えるならば「簿記」の中心は仕訳です。
財務会計論とは
対して財務会計論は、「財務諸表においてどう報告するのがより良いのか」を学ぶ学問です。
先程の減価償却ならば、
・固定資産の費用配分方法として定額法と定率法はどのような違いがあるのか?
・P/Lの減価償却費100にどのような意味があるのか?
・P/Lに減価償却費100を計上することで純利益や利益剰余金、はたまた純資産全体にどのような影響がでるのか?
ということを考える感じです。「簿記」の中心が仕訳ならば、「財務会計」の中心は財務諸表となります。
簿記的勉強法と財務的勉強法
上記を踏まえて自分は「簿記的勉強法」と「財務会計論的勉強法(財務的勉強法)」を以下のように捉えています。
- 簿記的勉強法
-
「仕訳中心」の学習
- 財務的勉強法
-
「財務諸表計上額の意味、その算定方法の意味、財務諸表全体への影響」を考えながらの学習
簿記的勉強法は仕訳中心の勉強法もしくは仕訳に頼った勉強法です。
財務会計論を得意にするためには、この簿記的勉強法から脱却する必要があるのです。
財務会計論が得意な方は、実は仕訳を中心に勉強しておらんのじゃ
簿記的勉強法になっていないかのチェックリスト
上述したとおり簿記的勉強法とは、ずばり仕訳に頼った勉強法です!
下記のチェックリストで、1つでも当てはまったら簿記的勉強法になっている可能性があります。
- 仕訳を書きそれを集計して解答している
- 問題を解く際はとりあえず仕訳を書いている
- 仕訳を書かないと不安だ
- 財務諸表の金額の意味がわからない(例:B/Sに計上されている繰延税金資産100の意味は?という質問にドギマギする)
ぎくッ!・・・で、でも、財務諸表は仕訳を集計して作成するじゃないですか。その何が良くないんですか?
簿記的勉強法には弊害があるんじゃ。ボブの点数が伸びない原因は簿記的勉強法にあるかもしれんぞ。それを脱却することで点数があがるはずじゃ!
短答式試験における簿記的勉強法の弊害
簿記的勉強法の弊害とは、ずばり!
機械的に解いてしまう!
に尽きます。
仕訳は便利なので、仕訳さえ書けてしまえれば後はそれを集計して財務諸表数値を求めることができちゃいます。ただその結果として以下の3つの弊害が生まれます。
①ミスが起きやすい
②時間がかかる
③応用的な問題が解けない
弊害① ミスが起きやすい
機械的に解いてしまうため、問題文のどこに注意をしなくてはいけないか?という意識が弱くなります。
また、仕訳の行数が多くなるとその分だけ仕訳自体のミス、集計する際のミスなど、様々なミスが生まれやすくなります。
仕訳を書いて解くという、一見丁寧に解いてるようなやり方が逆にミスを誘発してしまうのです。
弊害② 時間がかかる
仕訳を書く分だけ無駄に時間を浪費します。
例えば、「B/Sの有価証券の額を求める問題」では直接B/S計上額を算定すればすぐに解答できます。
しかし仕訳の場合、「洗替の仕訳」や「社債の利息の見越計上の仕訳」までやってしまうという様に、解答に関わらない仕訳までやってしまう可能性があります。
(これは大事な視点なのですが)仕訳は1つの事象を借方と貸方にわけて記録しますが、短答式試験においてはその必要はありません。
短答は基本的に1つの問題に1つの解答箇所です。1つの金額を算定できればいいのですから、仕訳のように2つに分ける必要なんてないのです。
弊害③ 応用的な問題が解けない
普段から機械的にやってる分だけ、純粋に理解不足になってしまいます。その結果、応用的な問題は解けません。
また、応用的な問題になると、そもそも仕訳がわからないという問題もありますが、簿記的勉強法によっていると、仕訳が書けない瞬間に思考が停止してしまい解けないことになります。
簿記的勉強法からの脱却方法
上記の弊害があるため、簿記的な勉強法の場合には点数があがりません。
そのため簿記的勉強法をしてしまっている場合には、そこから脱却方法する必要があります。
その方法は2つありますのでご紹介します。
理解を重視し、財務的勉強法を身につける
簿記的勉強法の場合には機械的になってしまっているため、脱却するには理解を重視して勉強することが必要です。
具体的には先ほど財務的勉強法で挙げた、
- 財務諸表計上額の意味
- 金額の算定方法の意味
- 財務諸表全体への影響
ということを考えながら勉強するのが効果的です。
税効果会計の場合
- 繰延税金資産のB/S計上額を算定するだけでなく、その金額が表す意味を考えてみる
- その上で、なぜその金額は、期末の将来減算一時差異の合計に税率を乗じれば求まるのか?という算定方法の意味を考える
- 繰延税金資産を計上することで、利益や純資産に与える影響を考えてみる
仕訳を書かない
仕訳に頼った勉強法が簿記的勉強法なので、その逆をやればいいのです。つまり、
仕訳せずに解答数値を算定する。
です。
これは解答数値を直接算定するということなのですが、このやり方の場合、求める金額の意味や算定方法の意味がわかってないと解けません。
そのため、「仕訳を書かずに解く」を実践することで強制的に自分の思考法を理解にシフトできるのです。
以上、この2点が具体的な脱却方法です!ぜひ実践をしてみてください。
簿記的な素養は不必要なのか?
ここまで読むと簿記的勉強法もしくは仕訳自体が不要(もっと言うと悪)と思えてしまいますが、そうではありません。
むしろ、仕訳は必要です。
冒頭で紹介した記事でも伝えていますが、財務的勉強法を身につけるためには、仕訳ができることが前提になるからです。仕訳は言わば思考のベースなのです。
また、最近の論文式試験においては連結精算表のように仕訳自体の知識が問われることも多くなっており、そのような意味でも重要です。
なので仕訳もちゃんとできるようにしましょう。
最後に
もし今まで簿記的勉強法をやっていたとして、今回の記事をきっかけにそれを財務的勉強法に変えてみようとする場合、最初は大変です。
今までと違う頭の使い方になるため、むしろやりづらいなくらいに思う可能性が高いです。
ただ、ぜひそこは乗り越えてほしいと思います。きっと乗り越えた先には財務会計論という科目が違う視点で見れるようになっているはずです。
コメント
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[…] 会計 得意」「簿記 コツ」とかで検索しまくりました。そこで出会ったのはCPA会計学院の登川先生の会計ノーツの簿記からの脱却というページでした。(https://cpa-noborikawa.net/boki-dakkyaku/) […]