【CF計算書】小計の上の受取利息と、小計の下の受取利息はどう違う?

CF計算書の営業活動における、「小計の上の受取利息」と「小計の下の受取利息」は何がどう違うんですか?

小計の上はPL計上額で、小計の下は現金収入額です

目次

解説

キャッシュ・フロー計算書(以下、CF計算書)の営業活動の区分には、小計という欄があります

この小計を挟んで、上にも下にも受取利息や支払利息が計上されていることがあります。

小計の上下

これだけを見ると、

  • なぜ、小計の上と下に2つ計上されるのか?
  • 金額が違うのはなぜか?
  • 符号が逆なのはなぜか?

こんな疑問がわいてきます。

 ▼

早速、結論からいっちゃいましょう。

結論
  • 小計の上→損益計算書の計上額
  • 小計の下→実際のCFの金額(現金収支額)

もし、これだけの説明でわかれば、これより先は読む必要はありません。

わからなければ、続きもいきましょう!

理解するための前提知識

今回の疑問を解決するには、次の2点を理解する必要があります。

  • 小計の意味
  • 間接法の仕組み

下記の記事でも解説してますが、本記事でも解説します。

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小計の意味

CF計算書における営業活動の区分には、営業活動のCFだけが計上されるわけではありません。

営業活動の区分には、次の2種類のCFが計上されます。

  1. 純粋な営業活動によるCF
  2. 営業活動ではないけど、PLに関係するCF

「1.純粋な営業活動」というのは、PLの営業利益に関係する活動です。

具体的には、商品販売による収入、仕入代金の支払い、人件費の支払い、家賃の支払いなどが該当します。

おじさん(先生)

小計の金額は、このような、純粋な営業活動から生じたCFの額を意味するんじゃ

対して、小計の下には「2.営業活動ではないけど、PLに関係するCF」が計上されます

具体的には、受取利息、支払利息、法人税等などです。

小計の上と下に計上する金額の説明
おじさん(先生)

小計の下に利息や法人税等のCFを計上することで、CF計算書と損益計算書の比較がしやすくなるんじゃ

まず、これが小計の理解です。

小計の上の金額の意味(間接法の仕組み)

小計の金額(つまり、純粋な営業活動によるCF)は、

「PLの営業利益 ≒ 営業活動によるCF」

という考えに基づき作成します(この作成方法を間接法といいます)。

間接法の考え方
おじさん(先生)

営業利益と、純粋な営業CFはほとんど同じじゃから、PLをもとに小計の額を求めていくんじゃ

具体的には、損益計算書を下からさかのぼるように、純利益から始めて営業利益(≒営業CF)を求めます

間接法の構造

つまり、小計の上では、PL純利益を営業利益に変換する過程として受取利息や支払利息が計上されるのです。

よって、小計の上における受取利息と支払利息は次のようになります

  • 受取利息と支払利息は、PL計上額になる
  • 符号は、収益はマイナス、費用はプラスになる

間接法について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事(間接法によるCF計算書の考え方をわかりやすく解説)をご覧下さい

小計の下の金額の意味

対して、小計の下には、「営業活動ではないけど、PLに関係するCF」を計上します。

具体的には、利息や法人税等でしたね。

小計の下に計上する金額は特に難しいことありません。

CF計算書なので、現金収支額を計上するのです。

小計の下の金額

よって、小計の下の計上額は下記のようになります。

  • 受取利息は現金収入額
  • 支払利息は現金支出額
おじさん(先生)

これで、小計の上と下の違いはわかったかの?最後に具体例で確認して終わりにしよう

まとめ

具体例
  • 利息の現金受取額:150
  • P/Lの受取利息:100

(参考:当期の仕訳)
期中:現  金150/受取利息150
決算:受取利息 50/前受利息 50

 ▼

この場合の、CF計算書はどうなる?

解答

小計の上:受取利息△100(PL計上額)
小計の下:受取利息+150(CFの額)

最後に、今回の内容をまとめておきましょう。

なぜ、小計の上と下に2つ計上されるのか?

小計の上では、PL純利益から営業利益を求めるために計上し、小計の下には、利息の収支額を計上するから

金額が違うのはなぜか?

小計の上はPL計上額、小計の下はCFの額だから

符号が逆なのはなぜか?

小計の上はPLをさかのぼるから、符号が逆になる

もし、CF計算書の実物を見る機会があれば、ぜひよく見てみてください。

小計の上は、「受取利息」「支払利息」と書いてあるのに対して、

小計の下は、「利息の受取額」「利息の支払額」と書いてあります。

これは、小計の上がPL計上額、下がCFの金額ということを意味しているのです

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おまけ

おじさん(先生)

この記事はわかりやすかったかの?

ボブ(勉強中)

うん!もっと会計のこと学んでみたいな!

おじさん(先生)

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コメント

コメント一覧 (10件)

  • 小計で営業活動から除外して、財務活動へ移した方が、活動内容と合致すると思うのですが、営業活動にそのまま戻すのでしょうか?

  • ありがとうございます!第140回の会計学の連結キャッシュフローでそのような問題が出たのですが、非支配株主持分に振り替える仕訳しかされていませんでした。連結キャッシュフロー計算書では、もう配当金の取り消しはされていたんだと思います。

  • お世話になっております。連結キャッシュフロー計算書で、子会社が2000円の配当をした場合親会社は80%所有していて、(借方)受取配当金1600、非支配株主持分400(貸方)利益剰余金2000となります。この受取配当金キャッシュフロー計算書ではけすんですか?

  • 結局よく分かりませんでした。
    小計というのは小計より上の上の部分を指しているのでしょうか?それとも小計より下の部分を指しているのでしょうか?小計がなんなのかズバッと分かりやすく説明できませんか?

    • ズバッと言えば、小計は小計です!
      もう少し言えば、小計の上の金額を合計したものです。

  • キャッシュフロー計算書の受取利息の表示、ようやく疑問が晴れました。ありがとうございます!今後も記事の情報参考にしたいです。

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