発生主義会計を理解する!(ヤバい会計学#3)

ヤバい会計学とは

ヤバい会計学は、 日商簿記検定受験生向けの会計学
簿記の学習をするうえで、知っておくべき会計理論をかみ砕いてわかりやすく解説します。

ボブといっしょに勉強しましょう!

ボブ(勉強中)

がんばろう!

目次

今回学ぶこと

今回は発生主義会計について学んでいきます!

ボブ(勉強中)

発生主義会計?

発生主義会計は、「会計の中心となる考え方」と言えるくらい重要です。

その分、発生主義会計を知らないまま簿記を勉強すると…

ボブ(勉強中)

理解が中途半端になっちゃう?

そうです。

発生主義会計を知らずに簿記を勉強することは、野球のルールをよく知らないまま野球の練習をするのと同じです。

ボブ(勉強中)

それはヤバい…発生主義会計を勉強しないと!

今回のヤバい会計学で発生主義会計の考え方をおさえましょう!

発生主義会計って?

発生主義会計とは、価値の増減が発生した時点で収益・費用の認識を行う会計のこと

ボブ(勉強中)

???

そもそも何の論点かというと、収益と費用を"いつ"認識するか?という論点です。

 ▼

例えば、当期に商品を売った場合、

収益(売上)を、「当期」の損益計算書に計上する?それとも、「翌期」に計上する?

ということを決めるルールが発生主義です。

ボブ(勉強中)

そんなの、「当期に売ったら当期の収益にする」に決まってるじゃん

そうですね。

では、もし「掛け売上(代金後払いの販売)」だったらどうでしょうか?

  • 当期→掛けで売った(現金増えてない)
  • 翌期→その代金を回収した(現金増えた)

この場合、当期に現金増えていませんが、それでも当期に収益を計上すべきなのでしょうか?

ボブ(勉強中)

確かに、ちょっと迷うな…

この点、発生主義会計では次のように考えます。

現金収支時点ではなく、価値の増減時点で収益、費用を認識する

発生主義会計における収益は、価値が増えたら認識します。
現金の収入時点ではありません。

さっきの掛け売上の場合を考えてみましょう。

掛け売上
  ↓(ということは)
近々、現金が増えること確実
 ↓(なので)
価値が増えたといえる。
 ↓(だから)
当期に収益を計上する!

というロジックとなり、売った時点、つまり当期が収益の認識時点となるのです

ボブ(勉強中)


普段、何気なく、「(借)売掛金××(貸)売上××」って仕訳してたけど、現金増えてなくても収益計上していたのは、発生主義会計だからだったんだ!

念のため、具体例で損益計算書を確認しましょう。

具体例
  • 掛け仕入200(当期の支出ゼロ)
  • 掛け売上300(当期の収入ゼロ)
収 益300
費 用200
利 益100
損益計算書

このように、現金収支が一切なかったとしても、発生主義会計では100儲かったことにします

ボブ(勉強中)

なるほど!てことは、価値の増減時点が大事なんだね。価値の増減時点っていつなの?

成果が生じた時点が価値の増加、モノやサービスを消費した時点が価値の減少時点と考えます。

  • 収益(価値の増加)→成果が生じた時点
  • 費用(価値の減少)→消費した時点

実際には、取引(勘定科目)によって価値の増減時点はかわります。

もう少し読んでいくとよりわかるでしょう。

ボブ(勉強中)

ふーん

発生主義会計じゃないとヤバい

もし、発生主義会計じゃなければヤバいことがおきます。

ボブ(勉強中)

ここからヤバい会計学の真骨頂だね

発生主義会計じゃなければ(現金主義会計)

社長:当期の業績について報告を頼む

部長:はい!当期は、200円で仕入れた商品を300円で販売しました!

社長:では利益は100円ということじゃな

部長:それが…仕入代金はすでに支払ったんですが、売上代金は翌期に入金されることになってます…

社長:なんじゃと…じゃあ、当期のPLはどうなるんじゃ!?

部長:収益はゼロで、費用は200なので、赤字200になります…

社長:アカーン

ボブ(勉強中)

これはヤバい…

収益・費用を現金収支の時点で認識する考え方を「現金主義といいます。

発生主義会計じゃなければ、現金主義会計になります。

上記の例では、現金主義で利益を計算した結果、商品を売っているにも関わらず、収益はゼロで大赤字になっています。

収 益ゼロ
費 用200
利 益-200
損益計算書

このように、現金主義会計の場合、取引の実態と利益が噛み合いません。
つまり、現金主義会計では適切な損益計算書を作成することはできないのです。

そこで、発生主義です。

収 益300
費 用200
利 益100
損益計算書

発生主義では現金の増減に関係なく収益・費用を認識する結果、実態にあった利益を計算することができるのです。

これが、発生主義会計が採用されている理由です。

ボブ(勉強中)

なるほど〜!発生主義にもとづけば、適切な利益を計算できるんだ!

おじさん(先生)

そのとおりじゃ。しかし、その代わり、利益の金額と現金増加額は一致しないことになるんじゃ。

ボブ(勉強中)

確かに…今の例だと利益は100なのに、当期だけみれば現金は200円減ってる…

おじさん(先生)

これが、会計を習って最初につまづくポイントの1つなんじゃ。収支額基準を採用しているから、基本的に現金増減額にもとづき利益を計算する。しかし、発生主義を採用しているから、当期だけみれば利益と現金増減額は一致しない。これが直感的にわかるようになれば、会計をとても理解できるようになるぞ

発生主義会計の使い方

発生主義会計を知ると、決算整理仕訳の理解を深めることができます。

なぜなら決算整理仕訳の多くが現金主義会計を発生主義会計に変換するための仕訳ということがわかるからです。

ボブ(勉強中)

現金主義会計を発生主義会計に変換?

具体例

例1 売上原価の算定(期末在庫の計上)

借方科目金額貸方科目金額
繰越商品××仕入××
期末在庫の計上

 ▼

発生主義会計において、費用は消費した時点で計上です。

では、商品の仕入取引において消費した時点はいつでしょうか?

ボブ(勉強中)

・・・商品を消費、、、商品がなくなる、、、
わかった!仕入れた商品を相手に渡したときだ!
つまり売れたときだ!!

そのとおり!

仕入れた商品は売れた時点が消費時点、つまり費用の認識時点です。

しかし、期中仕訳を思い出してみましょう。

商品を仕入れた時点で、費用計上(勘定科目は仕入)していますよね。
期中では費用の認識時点が消費時点とはなっていないのです

そこで、消費した分だけを費用にするための修正が上記の決算整理仕訳です。
具体的には、「期末在庫=未消費額」なので、期末在庫の金額だけ費用を取り消すのです。

具体例

例2 減価償却費の計上

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費××建物××

固定資産は時が経過していく過程で徐々に価値が減少していきます。

つまり、時の経過時点が費用の認識時点です。

しかし、期中仕訳において、固定資産は資産に計上するのみで、費用計上していません

そこで、時が経過した分だけ費用計上するために、決算で減価償却費の計上を行うのです。

具体例

例3 費用の見越繰延(未払費用、前払費用)

借方科目金額貸方科目金額
支払家賃××未払家賃××

例えば、建物のワンフロアを借りたとしましょう。
この場合、費用(勘定科目は、支払家賃)が生じます。

家賃は賃借期間の分だけ支払う必要があるので、こちらも時の経過(賃借期間)により費用を認識します

しかし、

  • 家賃が後払いの場合→賃借したけど期中で費用計上していない
  • 家賃が前払いの場合→賃借してない期間も費用計上している

ことが生じます。

そこで、決算において、

  • 後払いなら→費用計上(相手勘定は「未払費用」)
  • 前払いなら→費用の取り消し(相手勘定は「前払費用」)

とするのです。

このように、発生主義会計を知ると、

ボブ(勉強中)

多くの決算整理仕訳が収益・費用を発生額に修正するための仕訳だ!

ということが理解できるようになるのです。

最後にボブから一言

ボブ(勉強中)

発生主義会計がわかれば、決算がわかる!

発生主義会計とは、価値の増減が発生した時点で収益・費用の認識を行う会計のこと

おまけ

おじさん(先生)

この記事はわかりやすかったかの?

ボブ(勉強中)

うん!もっと会計のこと学んでみたいな!

おじさん(先生)

それなら、会計ノーツの公式本がおすすめじゃ。
その名も「世界一やさしい会計の教科書」じゃ!

ボブ(勉強中)

世界一やさしい会計の教科書…

会計ノーツの公式本

会計ノーツの管理人である登川が、会計を勉強する全ての方に向けて、

  • 考え方からちゃんと説明すること
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を心がけて、書きました。

読み終えた頃には、「よくわかって、楽しかった!」と思えるはず! 

財務3表はもちろん、簿記・仕訳、収益認識、のれん、繰延税金資産などの会計用語、会計理論、財務分析など、財務会計の一通りについて、わかりやすく、丁寧に解説します。

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この記事を書いた人

CPA会計学院で公認会計士講座の講師をしています。会計が大好きで、どうすればわかりやすく教えられるかを日々考えています。
(略歴)慶應高校→慶應大学(在学中に公認会計士試験合格)→監査法人トーマツ→CPA

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 個人的な理解(解釈)で申し訳ないのですが、発生主義会計で発生した収益や費用(未払い分)は次期の決算までには払う・入ってくるので最終的には収支額基準とも合致(前期発生・収益が支出されたので一致)するという認識で大丈夫でしょうか?

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