解説
一般的な商品の販売では、
- 顧客へ商品を出荷
- 商品が顧客に届き、顧客が商品を検収
という順番で取引が行われます。

- 検収:検収とは、注文通りの品物かどうか、初期不良がないかどうかを確認すること
このとき、収益(売上)をいつ認識するか?が問題になります。

「売れたのはいつ?」ってことだね
ここで、1の出荷時に収益を認識する方法を「出荷基準」といいます。
ちなみに、2のタイミングで認識する方法は「検収基準」です。

- X1/3/30:商品100円を出荷した
- X1/3/31:決算日をむかえた
- X1/4/2:顧客が商品を検収した
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X1年3月期の収益(売上)はいくら?
この具体例のように、出荷してから検収するまでの間に決算日がやってくると、出荷基準と検収基準で収益の期ずれが生じます。

出荷基準の方が先に収益を認識するってことだね。ところで、出荷基準と検収基準はどっちを採用してもいいの?
そもそも収益認識基準においては、商品(または製品)の販売収益の認識時点はその商品の支配が顧客に移転した時点としています。

「支配が移転」は難しい表現じゃが、ひと言でいえば、「相手のものになった時点」ということじゃ
そのため、「原則的には『検収基準』で収益を認識すべき」となります。
逆に言えば、出荷時点では、その商品は相手のものになっていないため、収益認識基準の考え方からすれば、本来は出荷基準は認められないことになります。
原則的には、検収基準!
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しかし、実際のところ、検収時点を把握することは実務上大変です。

確かに、検収時点を把握するには、こっちから顧客に問い合わせるか、顧客から検収の報告を受けるかっていう手間が必要だね
また、従来から日本の企業では出荷基準を採用していることが多く、出荷基準が日本の会計実務に定着しています。
そこで、その点に配慮した規定が定められています(これを代替的な取り扱いといいます)。
具体的には、以下の場合に、出荷基準を採用することができます。
- 国内の販売において
- 出荷時から検収時までが通常の期間(数日間)
である場合、出荷基準が採用できる!
この理由は、この要件を満たす場合、出荷基準によったとしても、その影響が金額的重要性に乏しいと推定されるためです。

確かに、国内への販売で数日間で取引が完結するような場合、出荷基準と検収基準のどっちを採用したとしてもたいした差はなさそうだね
よって、通常の国内販売の場合には出荷基準を適用できるというのが結論になります。
要件を満たす場合、代替的な取り扱いにより、出荷基準が認められる!
なお、この代替的な取り扱いは日本における収益認識基準で採用されている扱いです。
IFRSでは当該規定はありませんので、この点は注意が必要です。
- 本記事は、収益認識の適用指針98項、171項を参考にしました。

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