- 持分法とはなんですか?
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持分の増減に合わせて、投資額を増減させる会計処理です。
こんにちは!
今回は持分法についてわかりやすく解説します!
持分法を理解するための前提知識
持分法が適用されるのはどういう場合?
持分法が適用されるのは、関連会社株式と非連結子会社の株式です。
関連会社の方がメジャーなので、これ以降、関連会社株式を前提に説明します。
また、持分法は個別財務諸表では適用されません。
連結財務諸表だけで適用される会計処理です。
そもそも持分とは?
持分とは、「1つのものを複数人で共同所有している場合の、各人が所有している部分のこと」です。
例えば、
- 夫婦で1,000万円の家を購入した。
- 夫が600万円、妻が400万円お金を出した。
この場合、夫の持分は次のようになります。
- 夫の持分比率:60%
- 夫の持分金額:1,000万円×60%=600万円
もし、その後、家の時価が上昇し2,000万円になった場合、夫の持分は1,200万円になります。
簡単に言えば、持分とは「自分の取り分はいくらか?」を計算したものじゃ
共同所有している場合、自分の所有部分は、持分っていう概念を使って捉えるんだね。
持分を計算してみよう!
株式会社の所有者(オーナー)は株主なので、
「1つのものを複数人で共同所有」という点は、株式会社にも当てはまります。
例えば、
- A社は100株発行している
- P社はA社株式を20株所有している
という場合、A社の持分比率は20%です。
さらに、
- A社の純資産は1,000円
であった場合、P社の持分は200円になります。
- A社は設立に際して、100株発行した。1株当たりの払込価格は@10円である。
- P社は上記株式のうち20株を引き受け、200円払い込んだ。
- 残りの80株は、P社以外の会社が払い込んだ。
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ちゃんとP社のA社株式の金額が200円となっており、持分額を表していますね。
貸借対照表上、A社の価値は純資産で表されるから、純資産の額に持分比率をかければ持分を算定できるんだね。
ここまでが前提知識じゃ。次から本題じゃ!
持分法とは
持分の増減を、株式のB/S計上額に反映させる!
持分法とは、持分額の増減に合わせて株式の金額を評価する方法です。
- 設立後、A社は500円の利益を計上した。
A社の純資産が増えたため、P社の持分も増えることになります。
P社の持分額:1,500円×20%=300円
持分法は、この持分額300円を株式の金額とする方法です。
なお、この金額を持分法評価額といいます。
持分法評価額は時価とは違うの?
時価は「いま証券市場で売ったらいくらか?」という金額じゃ。一方、持分法評価額はB/Sベースで算定されるから、時価とは違うものなんじゃ
持分法は株式の評価方法(B/S計上額の算定方法)の1つと言えます。
株式の評価方法には、持分法以外にも、時価法や原価法があります。
- 時価法:市場の時価(いわゆる株価)をB/S計上額とする方法
- 原価法:取得原価をB/S計上額とする方法
持分法の仕訳
P社における持分法の仕訳は次のようになります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
A社株式 | 100 | 持分法利益 | 100 |
取得原価200に上記の仕訳を加味すれば、A社株式の金額をP社持分額300円にすることができます。
増加した持分額だけ、株式を増やして、利益を計上するんだね。
のれんが含まれる場合
持分法の場合、「純資産×持分比率」で株式の金額を算定するってことか
基本的な考え方はそれであっているんじゃが、そうならないことも多いのじゃ
前提
- B社の貸借対照表は次のとおりである。
- また、B社の発行済株式総数は100株である。
取引
- P社はB社株式20株を証券市場から250円で取得した。
先ほどとは異なり、B社株式を市場から購入してきています。
市場から購入した場合、市場価格(時価)で取得することになるので、取得原価と取得した持分にはズレが生じます。
- B社株式の取得原価:250円
- 取得したB社持分:200円(=純資産1,000×20%)
株式の取得原価と、持分額が50円ズレている…
ズレ50円は高く買った部分ですので、のれんを意味します。
この場合、B社株式の金額は次のようになります。
B社株式の金額:B社純資産×20%+のれん
市場から買った場合、株式の金額は、持分金額にのれんを加えたものになるんだね
そうじゃ、のれんの金額は株式の金額に含まれているのじゃ
持分法ではのれんを償却する
上記ののれんは、持分法において償却をします。
償却をするという点は、連結会計と同様じゃ
例えば、上記ののれん50円を5年で償却する場合、毎期の償却額は10円です。
持分法では、のれんは株式の金額に含まれているので、のれん償却の分だけ、株式の金額が減額されます。
なお、仕訳は次のように貸方でB社株式を減額します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
持分法利益 | 10 | B社株式 | 10 |
B社株式の相手勘定は、持分法による投資利益を使うんだね
そうじゃ、持分法の仕訳は基本的に1行で行うから、1行連結とも言われるんじゃ
まとめの具体例
前提
- B社の貸借対照表は次のとおりである。
- また、B社の発行済株式総数は100株である。
取引等
- 前期末にP社はB社株式20株を証券市場から250円で取得した。
- 当期にB社は利益を500円計上した。
- のれんは5年で償却する。
▼
ここで問題!
当期末のB社株式の金額(持分法評価額)はいくらになる?
解答 340
P社における持分法の仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
B社株式 | 100 | 持分法利益 | 100 |
持分法利益 | 10 | B社株式 | 10 |
- 1行目は持分増加の仕訳、2行目はのれん償却の仕訳
持分法評価額 = 持分 + のれんの未償却額
最後に
本記事は以上です。
今回は「持分法評価額」に注目して、持分法の説明をしました。
言い換えるなら、B/Sに着目した説明ともいえます。
逆に言えば、P/L面、つまり「持分法による投資利益」の観点からは説明不足となっております。
P/L面に着目した説明は、別記事で行う予定ですので、こちらも合わせてご確認頂ければと思います!
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