- 持分法による投資利益とは何ですか?
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関連会社の利益のうち当社に帰属する額で、関連会社に対する投資の成果を表します。
こんにちは!
今回は「持分法による投資利益」についてわかりやすく解説します!
持分法が適用されるのはどういう場合?
持分法が適用されるのは、関連会社株式と非連結子会社の株式です。
関連会社の方がメジャーなので、これ以降、関連会社株式を前提に説明します。
また、持分法は個別財務諸表では適用されません。
連結財務諸表だけで適用される会計処理です。
- 個別財務諸表:原価法(持分法の適用や、時価評価はしない)
- 連結財務諸表:持分法
個別上に「持分法による投資利益」が計上されることはないのじゃ
持分法による投資利益が意味すること
連結損益計算書に計上されてる「持分法による投資利益」は、
関連会社に対して行った投資が、どれだけの成果を上げているか
を表します。
ちなみに、持分法による投資利益の表示区分は営業外損益です。
株式投資にかかる損益だから、営業外損益なのじゃ
確かに、有価証券売却益とか受取配当金とか株式投資関係の損益は営業外損益だったね。
持分法による投資利益が計上される場合
関連会社が利益を計上したら、持分法による投資利益が計上される
- P社はA社株式の20%を保有している。
- A社は当期に100円利益を計上した。
▼
当期の持分法による投資利益は?
解答 持分法による投資利益は20円
P社はA社株式の20%を保有しているので、A社利益100円のうち、P社に帰属する額は20円です。
よって、この20円がA社に対して行った投資の成果と考え、その20円をP社の利益として取り込みます。
持分法による投資利益 = A社利益 × P社持分比率
仕訳は、次のようになります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
A社株式 | 20 | 持分法利益 | 20 |
これが、持分法による投資利益を計上するときの仕訳じゃ。
ちゃんと貸方で収益を計上してるね
そうじゃな。じゃが、借方に注目すると、現金は増えておらん。持分法による投資利益は、A社の利益をP社のP/Lに計上するだけじゃから、現金の増加を伴うわけじゃないのじゃ。
持分法による投資損失が計上される場合
関連会社の最終利益が赤字の場合、持分法による投資損失が計上される
- P社はA社株式の20%を保有している。
- A社は当期に100円の損失(赤字)を計上した。
▼
当期の持分法による投資損失は?
解答 持分法による投資損失は20円
さっきの具体例と違うのは、A社が赤字という点です。
この場合、P社の連結損益計算書には、「持分法による投資損失」が営業外費用の区分に計上されます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
持分法損失 | 20 | A社株式 | 20 |
持分法による投資損失は、関連会社が利益あげられていないことを意味するんだね
のれん償却がある場合
持分法では、関連会社の利益の取り込みだけでなく、のれんの償却も行います。
それは前回の記事で習ったよ。
投資額(関連会社株式の取得原価)に含まれるのれんを償却した場合、その償却費用は「持分法による投資利益」の減額として処理します。
前提
- B社の貸借対照表は次のとおりである。
- また、B社の発行済株式総数は100株である。
取引等
- 前期末にP社はB社株式20株を証券市場から250円で取得した。
- 当期にB社は利益を500円計上した。
- のれんは5年で償却する。
▼
ここで問題!
当期の持分法による投資利益の金額はいくらになる?
解答 持分法による投資利益は90円
- 利益の取り込み:B社利益500×20%=100
- のれん償却:のれん50※÷5年=10
- 解答の金額:100(1)-10(2)=90
- のれん:B社株式250-B社純資産1,000×20%=50
P社における持分法の仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
B社株式 | 100 | 持分法利益 | 100 |
持分法利益 | 10 | B社株式 | 10 |
最後に
本記事は以上です。
今回は、「持分法による投資利益」というP/L項目に注目して、持分法の説明をしました。
持分法を理解するには、B/S面からの理解も必須です。
本記事と合わせて、下記の記事の確認もしてください。
コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして。いつもお世話になっております。
今回もとてもわかりやすかったのですが、関連会社が剰余金の配当を行っている場合について質問があります。
持分法に係る投資損益では受取配当金を控除しませんが、親会社に帰属する当期純利益の計算では受取配当金を控除するというように両者に違いがあるのはなぜでしょうか?
【親会社に帰属する当期純利益=P社利益+持分法に係る投資損益】とならない理由がよくわかりません。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます!
お世話になっております。持分法に係る投資損益は営業外収益ですか?
はい、その通りです!