- リース資産・リース債務の計上額は、なぜ「見積現金購入価額」と「リース料総額の割引現在価値」を比較して、低い方を採用するのですか?
- 2つの金額を比較するのは、資産と負債の両面から合理的な金額を見積もるため。低い方を採用するのは貸借対照表計上額を過大にしないため。
ファイナンス・リース取引(以下、FL)において、貸手の購入価額がわからない場合はその金額を見積もらなければいけません。
具体的には、
- 見積現金購入価額
- リース料総額の割引現在価値
これら2つの金額を比較し低い方を採用します。
2つの金額を比較するのは、資産と負債の両面から合理的な金額を見積もるためです。

FLではリース取引開始時にリース資産とリース債務を計上します。
借 方 | 金額 | 貸 方 | 金額 |
---|---|---|---|
リース資産 | ×× | リース債務 | ×× |
上記仕訳は
- 借方で「リース物件を購入した」ことを表現
- 貸方で「リース会社から借金した」ことを表現
しています。
そのため、
- リース物件を購入したらいくらかな?を考えるのが見積現金購入価額
- 借金したらいくらかな?を考えるのがリース料総額の割引現在価値
なのです。


普通の借り入れを行った場合、支払うトータルの金額は、借入金と利息の合計となります。
借 方 | 金額 | 貸 方 | 金額 |
---|---|---|---|
借入金 | 100 | 現金 | 110 |
支払利息 | 10 |
上記の仕訳で言うと、支払うトータルが110円で、そのうち10円が利息、100円が借入金元本です。
ここから、支払う金額から利息を抜けば元本になることがわかります。
(110円−10円=100円)
ここで、割引現在価値は将来の支払い額を割り引くことで算定されますが、その算定された金額は支払額から利息を抜いた金額になります。

そのため、リース料総額の割引現在価値が借入金の金額になるのです。
続いて、2つの金額のうち「低い方」を採用するのは、B/S計上額を過大にしないためであり、B/S面における保守的な処理といえます。
一般的に、
となり、B/Sを大きくみせると、投資家に期待を持たせることになります。
リース資産・債務の計上額は見積額であるため、過度な期待を持たせないように低い方を採用するのです。
低い方を採用すると、結果的に、リース資産計上額は見積現金購入価額を超えることはありません。
つまり、低い方を採用するのはリース資産の計上額は見積現金購入価額を限度とすると同義になります。
見積現金購入価額よりも高い金額で資産計上されるのはおかしいですよね。
よって、見積現金購入価額を超えないようにするために低い方を採用するともいえるのです。
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