【固定資産の減損】使用価値と正味売却価額の高い方を回収可能価額とするのはなぜ?

固定資産に係る減損損失の測定において、使用価値と正味売却価額のうち、高い方を回収可能価額とするのはなぜですか?

会社は、お金がより増える方を選択するからです。

目次

解説

例えば、「帳簿価額100の建物」を保有しているとします。

このとき、減損損失の測定に当たって、

  • 使用価値が90
  • 正味売却価額70

である場合、

会社はこの建物を使用し続けるでしょうか?
それとも、売却するでしょうか?

 ▼

ルーシー(勉強中)

売却してもお金は70しか増えないけど、使い続けたら90増える…なら、使い続けるわね

その通りです。

会社は、より有利な方(お金が増える方)を選択するはずです。

であるなら、減損損失も、より有利な方(お金が増える方)で計算すべきなのです。

使用価値と正味売却価額
ルーシー(勉強中)

そっか、使用し続けるのに、売却した場合の金額で計算して、「減損損失は30(100−70)」とするのは変ね

 ▼

また、減損損失が適切に計算できるだけでなく、
貸借対照表計上額も適切になります

上記の例では、減損損失計上後の建物の金額は使用価値の90となり、
建物の価値をちゃんと表します。

「高い方を選ぶのは、資産の過大計上にならないのでしょうか?」

と質問を受けることがよくありますが、
過大計上にはなりません。

過大計上とは、適切ではない金額により資産が過大に計上されることです。
減損損失の測定で高い方を選ぶのは、適切な方を選んでいるので過大計上とはならないのです。

(この点はリース会計と考え方が異なるので注意しましょう。)

あわせて読みたい
【リース資産の計上額】なぜ2つの金額を比較し、なぜ低い方を採用するの? リース資産・リース債務の計上額は、なぜ「見積現金購入価額」と「リース料総額の割引現在価値」を比較して、低い方を採用するのですか? 2つの金額を比較するのは、資...

 おまけ 

おじさん(先生)

この記事はためになったかの?

ボブ(勉強中)

うん!もっと会計のこと学んでみたいな!

おじさん(先生)

それなら、会計ノーツの書籍を読むのじゃ!

\会計ノーツから生まれた本(2冊)/

体系的にしっかり学ぶなら

こんな人におすすめ!

  • 財務会計を体系的にしっかり学びたい
  • 公認会計士・税理士、簿記1級を勉強している
  • 他の基本書が難しくて挫折した

財務諸表の基礎から、企業会計原則、収益認識、減損、税効果、連結・企業結合などなど、財務会計の重要論点をわかりやすく、丁寧に解説してます。

ボブ(勉強中)

難関試験を目指す方は必読!

ライトに考え方を学ぶなら

こんな人におすすめ!

  • 身近な具体例で会計の考え方を理解したい
  • 簿記3級の勉強をもう1歩、深掘りしたい
  • 簿記の勉強で挫折したけど再チャレンジしたい

わかりやすい具体例を用いて、会計のモヤモヤを解消します。「1年生」とありますが、連結会計やキャッシュ・フロー計算書まで幅広く取り扱ってます。

ボブ(勉強中)

会計学習の1冊目ならこれが最適!

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次