- 固定資産に係る減損損失の測定において、使用価値と正味売却価額のうち、高い方を回収可能価額とするのはなぜですか?
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会社は、お金がより増える方を選択するからです。
解説
例えば、「帳簿価額100の建物」を保有しているとします。
このとき、減損損失の測定に当たって、
- 使用価値が90
- 正味売却価額70
である場合、
会社はこの建物を使用し続けるでしょうか?
それとも、売却するでしょうか?
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売却してもお金は70しか増えないけど、使い続けたら90増える…なら、使い続けるわね
その通りです。
会社は、より有利な方(お金が増える方)を選択するはずです。
であるなら、減損損失も、より有利な方(お金が増える方)で計算すべきなのです。
そっか、使用し続けるのに、売却した場合の金額で計算して、「減損損失は30(100−70)」とするのは変ね
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また、減損損失が適切に計算できるだけでなく、
貸借対照表計上額も適切になります。
上記の例では、減損損失計上後の建物の金額は使用価値の90となり、
建物の価値をちゃんと表します。
「高い方を選ぶのは、資産の過大計上にならないのでしょうか?」
と質問を受けることがよくありますが、
過大計上にはなりません。
過大計上とは、適切ではない金額により資産が過大に計上されることです。
減損損失の測定で高い方を選ぶのは、適切な方を選んでいるので過大計上とはならないのです。
(この点はリース会計と考え方が異なるので注意しましょう。)
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