こんにちは!
今回は、為替予約の独立処理について、図解を用いてわかりやすく解説をします!
本記事では、振当処理と比較しながら解説しますので、「振当処理って何?」という方は先に下記の記事をご覧下さい。
基本的な考え方
独立処理は、文字通り、為替予約を独立の取引として会計処理する方法です。
独立の取引?
振当処理と比較すると分かりやすいと思います。
例えば、外貨建の買掛金を先物相場105円で為替予約した場合を考えます。
振当処理の場合、先物相場で買掛金を換算します。
これは、「仕入取引と為替予約取引を一体とみなしている」と言えます。
しかし、本来、仕入取引と為替予約取引は別個の取引です。
別個の取引であるなら、お互いを別々に会計処理しようというのが、独立処理なのです。
振当処理と独立処理は、取引の捉え方が違うのね
具体的な会計処理
- 海外の仕入先から商品1ドルを掛けで仕入れた。
- 仕入時の直物相場は1ドル=100円であった。
- 仕入時に為替予約を行った。先物相場は1ドル=105円であった。
- 決済日の直物相場:1ドル=120円(先物相場も同様)
振当処理なら
もし振当処理を採用するなら、(借方)仕入105(貸方)買掛金105という仕訳になります。
なぜなら、仕入取引と為替予約取引を一体とみなした場合、買掛金の金額は先物相場で換算した金額になるからです。
独立処理なら
一方、独立処理の場合、仕訳は次のようになります。
仕入取引 | 為替予約取引 | |
---|---|---|
仕入時 | 仕入100/買掛金100 | 仕訳なし |
↓ | ||
決済時 | 買掛金100/現金120 為替差損20/ | 現金15/為替差益15 |
「仕入取引」部分の解説
通常の外貨建取引とみなして会計処理します。
つまり、直物相場の変動を追えばということです。
よって、仕入時は直物相場100円でしたが、決済時は120円になっているため、20円の為替差損が生じます。
仕入取引部分は、直物相場の変動を追えばいい
「為替予約取引」部分の解説
これはデリバティブ取引(為替先物)です。
そのため、こちらは先物相場の変動を追うことになります。
よって、今回は先物相場の変動15円が損益になります。
為替予約取引部分は、先物相場の変動を追えばいい
なるほど…確かに、別々に会計処理をすればいいっていうのはわかったけど、仕訳からだと買掛金を120円で支払ってるから為替予約ができているという感じがしないわね…
そうなんじゃ。105円で為替予約しているという感じがしないのが、独立処理のわかりづらいところじゃな。ただ、差金決済の+15円を考慮すれば、確かに実質的に105円になっていることにはなるんじゃ
最後に
本記事は以上になります。
「独立処理は、別々に処理すれば良い」ということがしっくりくれば、振当処理よりもむしろ簡単な会計処理と感じることができます。
ただ、為替予約部分はデリバティブ取引と扱うため、デリバティブ取引の理解が前提になります。
もし、デリバティブ取引がわかってない場合は、デリバティブ取引から確認するようにしましょう。
コメント
コメント一覧 (1件)
こんにちは。いつもわかりやすい解説ありがとうございます。
独立処理について学んでいる際に疑問に思った点があります。翌期首の仕分けについてです。
為替予約については洗い替え方式を用いるのに、外貨建金銭債務については切り離しを用いるのはなぜでしょうか。
ご回答していただけると幸いです。