間接法のキャッシュフロー計算書で難しいのは、「資産が増加した場合にプラスするのかマイナスするのか?」という点だと思います。
色々な説明の仕方があるのですが、今回は貸借対照表の視点から構造的に理解できるように図解を交えてわかりやすく解説をします。
解説
貸借対照表の前提
今回は理解のために貸借対照表を以下のように捉えます。
資産:「現金」と「営業資産※」
負債:「営業負債※」
資本:「利益」
- 間接法は営業CFを求める方法であるため、「現金以外の資産」と「負債」はどちらも「営業に関連する資産・負債(例えば売掛金・買掛金)」に限定して考えます。
また、貸借対照表の基本的な構造として、「BSの貸借は一致する」というのもしっかり頭の中にいれておきましょう。
基本的な具体例
まずは基本形として、現金売上をしたケースを考えます。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金(営業CF) | 100 | 売上(利益) | 100 |
この場合のCF計算書は以下のようになります。
利益と現金増加額が一致しているため、調整は不要です。
CF100 = 利益100
これを貸借対照表視点で表現すると以下のようになります。
このように貸借対照表から見てみると、純資産の利益(利益剰余金)が増加した分だけ、現金が増加していることがわかります。また、その結果、貸借も一致しています。
今回はこのように、貸借対照表の視点で考えていくんじゃ
資産・負債の増減
資産の増加(マイナス調整)
資産増の典型例は、売掛金が増加する掛け売上です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金(営業CF) | 90 | 売上(利益) | 100 |
売掛金(資産+) | 10 |
これを貸借対照表で考えると↓
現金90を利益100から求める場合には、営業資産の増加額を引くことがわかります。
結論:資産の増加→マイナス調整
CF90 = 利益100 ー 営業資産増10
資産の減少(プラス調整)
売掛金を回収した場合が、資産減の典型例です。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金(営業CF) | 110 | 売上(利益) | 100 |
売掛金(資産-) | 10 |
これを貸借対照表で考えると↓
現金110を利益100から求める場合には、営業資産の減少額を足すことがわかります。
結論:資産の減少→プラス調整
CF110 = 利益100 + 営業資産減10
負債の増加(プラス調整)
負債も同様に貸借対照表で考えればOKです。負債は貸方項目なので、負債が増えれば、借方の現金も増えることになります。
現金110を利益100から求める場合には、営業負債の増加額を足すことがわかります。
結論:負債の増加→プラス調整
CF-90 = 利益-100 + 営業負債増10
負債の減少(マイナス調整)
貸借対照表で考えると↓
現金90を利益100から求める場合には、営業負債の減少額を引くことがわかります。
結論:負債の減少→マイナス調整
CF△110 = 利益△100 − 営業負債減10
まとめ
貸借対照表を
このように「現金+営業資産=営業負債+利益」と捉えると、
現金=利益−営業資産+営業負債
となります。
こうすると、
・営業資産が増えた場合にはマイナス
・営業負債が増えた場合にはプラス
ということが理解しやすいと思います!
コメント
コメント一覧 (6件)
社会人でCPA通信生です!講義と併せこちらのブログでも、いつも大変お世話になっております。
C・F難しくて、講義を受けて面食らってましたが、分かる部分と分からない部分を明確に分けてなんとかがんばってます。
当記事の内容は正しく、自分の中で理解があやふやな部分だったので、原落ちできてとても嬉しいです!暗記量を減らしていただきありがとうございます。
引き続き勉強がんばります!!!
コメントありがとうございます!
役に立ったようでよかったです。会計士の合格に向けて張ってください👍
ビジネス会計検定2級の勉強でキャッシュフローの間接法について勉強していたのですが、BSやPLとの比較でうまくリンクしないなぁと頭を抱えていました。とても分かりやすい説明で腑に落ちました、ありがとうございます!
コメントありがとうございます!
そのように言っていただき嬉しいです😆
検定試験に合格されることを願っています👍
診断士試験を受けており、財務会計が苦手科目ですが、こちらのサイトを良く参考にさせてもらっています。今回も非常にわかりやすく参考になりました。
返信遅くなり申し訳ありません💦
コメントありがとうございました!お役に立ててよかったです。
試験合格に向けて頑張ってください👍