【キャッシュ・フロー計算書】なぜ減価償却費を加算する?

間接法のキャッシュ・フロー計算書では減価償却費は「加算」すなわち「現金の増加」として扱います。

「減価償却費で現金が増える」というのは直感的にイメージできません。

そこで今回は、間接法のキャッシュ・フロー計算で減価償却費をなぜ加算するのか、その理由について解説をします!

目次

前提となる知識

減価償却費を加算する理由をおさえるためには、以下の2点の知識が前提になります。

前提となる知識
  1. 間接法の考え方
  2. 減価償却費の特性

この2つの前提についてまずは確認をします。

前提1:間接法の考え方

CF計算書の間接法は「P/Lの利益から現金の増加額を求めよう」という考え方です。

利益と現金増加額はズレが生じます。そのため、間接法ではズレている金額を調整することで、利益から現金増加額を求めて行きます。


これが1つ目の前提です。

おじさん(先生)

「利益と現金増加額がズレるならば、逆に、そのズレている部分を調整すれば現金増加額になる!」という逆転の発想で現金増加額を計算するんじゃ

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前提2:減価償却費の特徴

続いて2つ目の前提です。
減価償却費の特徴、それは非現金支出費用という点です。非現金支出費用とは、現金支出がない費用のことです。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費20建物20

仕訳をみればわかるように減価償却費の相手勘定は現金ではありません。このような項目を非現金支出費用といいます。

おじさん(先生)

減価償却費を計上しても現金が減らないのがポイントじゃ

具体例と図解を用いた説明

前提知識をおさえたところで、シンプルな具体例を使って減価償却費を加算する理由を見ていきましょう!

減価償却費が調整項目となる理由

完璧に理解をしてもらうために、「減価償却費がない場合」と「減価償却費がある場合」を比較する形式にします。

具体例

当社は所有している建物を賃貸に出していて、家賃収入が100ある。

ケース1:減価償却費がない場合
ケース2:減価償却費が20ある場合

おじさん(先生)

ボブ、ケース1とケース2の現金増加額はいくらかわかるか?

ボブ(勉強中)

ケース1は家賃収入の100で、ケース2は・・・あ!減価償却費は非現金支出費用だからお金は減らない!だからケース2も100だ

おじさん(先生)

そうじゃ!

ボブの言う通り、減価償却は現金を払うわけではないため、ケース1も2も現金増加額は100となります。

しかし利益の額はどうなるでしょう?

ケース1は、受取家賃100がそのまま利益100になります。対してケース2は、受取家賃100から減価償却費20を引くため利益は80となります。

つまり、ケース1では利益と現金増加額は100で一致しますが、ケース2では利益80と現金増加額100で20ズレが生じるのです。

ボブ(勉強中)

このズレは減価償却費が原因だ!

そうです。ズレの原因は減価償却費20です。そのため、CFは計算書において減価償却費の調整をするのです。

減価償却費の加算の本当の意味

ここまで理解できれば、減価償却費を加算する意味がわかります。

減価償却費を加算するのは、現金が増えてるからではありません

減価償却費を加算する本当の意味は「マイナスの取り消し」です。

利益からは減価償却費の額がマイナスされますが、減価償却費は非現金支出費用であるため現金がマイナスになるわけではありません

そのため「利益からマイナスされているのを取り消す」という意味で、プラスの調整をするのです。

ボブ(勉強中)

減価償却費のプラスは、マイナスのマイナスでプラスってことなんだね

まとめ

以上が、減価償却費を加算する理由の説明です。

加算する理由を簡潔に言うと「マイナスの取り消しをするからプラス」となります。

この点を今回の記事でおさえてほしいと思います。

 おまけ 

おじさん(先生)

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ボブ(勉強中)

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おじさん(先生)

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