【書評】簿記がわかってしまう魔法の書 – 簿記3級の副読本に最適な1冊

目次

今回紹介する書籍の概要

「簿記がわかってしまう魔法の書」を紹介します。

概要

タイトル:簿記がわかってしまう魔法の書
著者:小沢 浩(名古屋大学教授)
出版社: 日本実業出版社
ページ数:190ページ
発売日:2019/3/20
定価:1300円(税別)

著者:小沢 浩 出版社: 日本実業出版社

書評

一言ポイント

モヤモヤすっきり!簿記3級勉強している人に最適な副読本!

結論からいうと、簿記3級の勉強を始めたばっかりの方や一通り勉強した方に非常におすすめできる1冊です。

  • 費用と資産の違いがわかっていない
  • 当期純利益と貸借対照表の関係がよくわからない
  • 試算表と財務諸表のつながりは?

などなど、簿記の参考書では理解が難しい箇所を本書は埋めてくれます。

初心者向けの書籍は多数読んできましたが、その中でも頭1つ抜けてるわかりやすさです。

本の帯には、

この本を読んでもダメなら簿記から「即撤退」

と、かわいいイラストには似つかわしくない、強烈な一言がさらりと書いてあります。

しかし、これが誇張ではない、と思わせるくらいの内容になっています。

ただ帯には「はじめて学習する人も」とありますが、全くの初心者からするとポイントがつかみづらいかなと思います。

本書の良さは、他の参考書にない切り口で説明することで、すでに学習している人に理解を付与するところにあります。

簿記3級学習の副読本という位置づけることで、本書の価値は出てくるでしょう。

詳細レビュー

働き者のルカのところに魔法使いがやってきて「何にでも姿を変えられる魔法の豆」を「3つ」もらうところからストーリーは始まります。

ルカは3つの豆をもらうのと同時に約束をします。

ルカはもらった豆を育てれば豆を増やすことができる、増えたうち半分はルカのもの、半分は魔法使いのもの

この約束のもと、ルカは豆を育て始めます。

  1. もらった3つのうち、1つは畑に埋め、残り2つはくわとじょうろに変えます。
  2. さらに後日、魔法使いから豆を1つ借りてその豆をおのに変えます。
  3. その結果、最終的に2つの豆を収穫できました。

このあとルカはどうしたかというと、、、

  • 約束通り、増えた豆のうち半分の1つは魔法使いにあげる
  • さらに、借りた豆1つを返す

この結果、2つの豆を収穫したものの、全部魔法使いに渡したためルカの取り分はゼロになりました。

涙目のルカ。

・・・

この続きはぜひ本書でご確認ください。

本書は「形式面」、「内容面」ともに工夫がされています。

形式面

  • ストーリー仕立てで読みやすい
  • イラスト、図解がかわいい
  • ストーリーと解説のバランスが良く、飽きさせない

特に印象的だったのが、図解に動きを感じられる部分です。

普通は図解は静止しています。
しかし本書は、図解をページいっぱい使って表現することで、動きを感じさせる図解を実現しています。

その結果、直感的な理解ができるものになっています。

(P66のロレワヨウョヒンサシとP134のシマサンヒマョウマニナレの呪文は必見です。 )

内容面

  • 試算表をメインに据えた説明
  • ユニークな具体例

本書の最大の特徴は、説明の根幹を試算表にしたところです。

貸借対照表と損益計算書を説明の中心にする解説書が多い中で、試算表を中心にするのはかなり珍しいのではないでしょうか。

しかし、実際に読んでみると、

  • 【資産、費用】:資金の運用先
  • 【負債、資本、収益】:資金の調達方法

貸借対照表と損益計算書の違い関係なく5要素をグルーピングすることで、理解が深まるようになっています。

簿記習い始めたばかりの頃、資産と費用の区別で困った方も多いのではないでしょうか?
また、利益と貸借対照表の関係もいまいちわかりづらかったと思います。

本書は、通常だったら理解が難しい箇所をシンプルに紐解いてくれます

ありきたりな言葉でいえば、目から鱗が落ちる箇所が多くあることでしょう。

また、減価償却をシャンプーに例えたり、利益計算を育毛剤に例えたり、面白い具体例が多くあります。

しっかりとした説明と、かみ砕いた説明のバランスが上手くとれている印象です。

そのため、気構えずに読めるのもいいところです。
(費用を抜け毛で表現する大胆さには度肝を抜かれました)

最後に

本書は2時間足らずで読める分量ですが、ポイントがしぼってあるため簿記の一通りの理解を深めるのに過不足ないものになっています。

簿記3級の勉強をしていてモヤモヤする箇所の大部分は本書ですっきりするのではないでしょうか。

後書きには、構想から出版まで3年かかったとあります。

他の参考書にない切り口であるため、それだけの年月を要したのにも頷けます。

おすすめです。

著者:小沢 浩 出版社: 日本実業出版社
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コメント

コメント一覧 (2件)

  •  60才になって、これから簿記検定を受けてみようと思っているじじいです。
     私はたまたま最初にこの本を読んでから、今は教本で勉強しています。おかげで教本に書いてあることの意味が理解出来ます。いきなり教本から入っていたらたぶんこんなに理解が進まなかったと思います。

    • コメントありがとうございます!
      自分も、学習開始当初にこの本があればより学習の理解が進んだなあ、と感じます。心からいい本だと思います。

      また、じじいなんてとんでもないです。新しいことを学ぼうとする意志に素直に尊敬します。
      勉強頑張って下さい!

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