今回は、簿記の勉強を始めたばかりの方向けに貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)について解説をします!
- 財政状態
- バランスシート(BalanceSheet、B/S)
- ストック
- 資産、負債、資本

概要(定義と図解)
貸借対照表とは、財務諸表の1つであり、一定時点における企業の財政状態を示すための表である。
ボブ(勉強中)財政状態ってなんだ?
財政状態というのは、簡単に言うと会社の財産の状況のことです。
貸借対照表では、会社の財産の状況を
- 資金の調達
- 資金の運用
という2つの観点から表現をします。

このように、資金の調達を右側に、運用を左側に書きます。
また、資金の調達方法には
- 銀行からの借金(他人資本)
- 株主からの出資(自己資本)
の2つの方法があります。
借金は返済する必要がある一方で、出資された額については返済は必要ありません。
同じ資金調達でもその性質は大きく異なるため、貸借対照表ではこれを区別して表示します。

ボブ(勉強中)貸借対照表は、資金の運用と調達を左右に分けたうえで、調達については2つに区分するんだね
結果、貸借対照表には以下の3つの要素が表示されることになります。
- 資金の運用形態(会社の所有する財産)
- 資金の調達方法(他人資本)
- 資金の調達方法(自己資本)
これら3つの要素をそれぞれ、
- 資産(会社の所有する財産)
- 負債(他人資本)
- 資本(自己資本)
と言います。

このように、会社の財産の状況を資産・負債・資本という3つの要素で表示するのが貸借対照表の特徴です。
具体例B/Sの作成
- A社は、銀行から200、株主から300資金を調達した。
- A社は、これらの金額を、建物に150,土地に300投資した。
- 50は現金のまま手元に保有している

おじさん(先生)この具体例をみてもわかるとおり、左右の金額は必ず一致するんじゃ
ボブ(勉強中)確かに、左も右も合計は500で一致してる!
ルーシー(勉強中)調達したお金を運用するって考えると、ある意味当然ね
おじさん(先生)左右が一致することをバランス(Balance)するというんじゃ。だから、貸借対照表のことを英語ではバランスシート(BalanceSheet)と言って、この頭文字をとってB/S(ビーエス)と呼ぶのが一般的じゃ
- 貸借対照表は、財政状態(資金の調達方法と運用形態)を表示する
- 資産=負債+資本(→貸借対照表の左右の合計は一致する)
- 貸借対照表は、B/Sとも言う
※「資産=負債+資本」を、貸借対照表等式と言います。
貸借対照表の理解を深めるための4つのポイント
貸借対照表の基本をおさえたうえで、さらに理解を深めるために一歩踏み込んで説明をします。
【ポイント1】B/Sはストックの情報を表示する財務諸表
貸借対照表はある一時点の情報を表示する財務諸表です。
対して、もう一つの代表的な財務諸表である損益計算書(P/L)は、一時点ではなく、一定期間の情報を示します。

このように、B/SとP/Lは示す情報の範囲が異なります。
おじさん(先生)一時点の情報をストック、一定期間の情報をフローと言うんじゃ。
ルーシー(勉強中)B/Sがストックで、P/Lがフローを示すってことね
B/Sはストックの情報を示す(フローの情報ではない)
【ポイント2】B/SとP/L(利益)の関係
上記に関連して、貸借対照表を理解するうえで、利益との関係は外せません。
利益が出るということは、端的に言えば「儲かってお金が増えた」ということです。
これをB/S的に考えると、利益がでれば資産と資本が増える、ということになります。

おじさん(先生)B/Sは左右が必ず一致するから、左が増えたら、右も増えるんじゃ
ルーシー(勉強中)利益は自分のものだから、負債じゃなくて資本が増えるわけね
また、利益はP/Lで計算されるので、P/LとB/Sの関係をまとめると以下のようになります。
前期B/Sの資本+当期P/Lの利益=当期B/Sの資本

ボブ(勉強中)利益を通じて、B/SとP/Lはつながっているんだ!
- 前期B/Sの資本+当期P/Lの利益=当期B/Sの資本
- B/SとP/Lは利益を通じてつながっている
【ポイント3】B/Sを見れば「今」だけでなく「将来」もわかる
概要において、B/Sは資金の運用と調達を示すと説明しましたが、実はB/Sはもう一つの読み方があります。
もう一つの読み方ができれば、B/Sから会社の将来がわかります。
ボブ(勉強中)???
これを理解するために、資産・負債・資本を以下のように再定義します。
- 資産の額:いま持っているお金、または、将来増えるお金
- 負債の額:マイナスの資産。つまり、将来減るお金
- 資本の額:資産と負債の差額。つまり、最終的に会社に残る金額

おじさん(先生)この点について解説するぞ
資産
おじさん(先生)ルーシー、会社はなぜ建物を150で買うんじゃろうか?
ルーシー(勉強中)うーん…150の価値があるって思ってるから?
おじさん(先生)そのとおりじゃ。ここでいう価値って言うのは、将来いくらお金が増えるかじゃ。「この建物を使えば最低でも150のお金を生み出せる」と思ってるから150で買うんじゃな。もし100しかお金を生み出せないならば、そもそも150では買わん。

ルーシー(勉強中)資産の金額は、将来増えるお金を表しているのね
負債
おじさん(先生)対して、負債はマイナスの資産なんじゃ。つまり、負債の額は将来減るお金を表しておる。
ボブ(勉強中)どういうこと?
おじさん(先生)負債の代表例である、借金で考えてみるんじゃ
ボブ(勉強中)…借金が将来減るお金?……そっか!借金したということは、将来返済しなきゃいけないってことだ。だから、借金の額は将来なくなるお金を意味するんだ
おじさん(先生)そのとおりじゃ。
資本(純資産)
おじさん(先生)さっき「資産=負債+資本」と説明したが、これを変形すると「資産−負債=資本」となる。つまり、資本は差額で求められるのじゃ

ルーシー(勉強中)資産が将来増えるお金、負債が将来減るお金…そして、資本はその差額…ってことは…
ボブ(勉強中)最終的に会社に残る金額だ!
おじさん(先生)そのとおりじゃ。ここで、さっきのB/Sをもう一回見てみようかの

ルーシー(勉強中)どれも将来のことを意味してるわ
ボブ(勉強中)だからB/Sみれば「今」だけじゃなくて、「将来」どうなりそうかってこともわかるんだね
- 資産−負債=資本
- B/Sには将来の情報も表示されている
※資本は資産と負債の差額であるため、この点を強調して「純資産」とも言います。
【ポイント4】流動と固定の区分(長短分類)
いま説明したとおり、資産は将来増える金額、負債は将来減る金額を意味します。
そのため、資産と負債の大小関係においては「資産 > 負債」となることが重要です。
ルーシー(勉強中)逆に「資産 < 負債」となってしまった会社は、お金を返せなくて倒産しちゃうわね
おじさん(先生)ちなみに「資産 < 負債」の状態を債務超過と言うんじゃ
しかし、もう一つ大事な視点があります。
それは、「いつ」増えたり減ったりするのか、です。
具体例で確認してみます。
B/S→資産500、負債300,資本200
この会社のB/Sは
資産500 > 負債300
となっており一見倒産しそうにはありません。
しかし、資産と負債の中身が次にような場合にはどうでしょうか?
- 資産500→10年後にお金が500増える
- 負債300→1年後にお金が300減る
この場合には、来期は300支払う必要があるのに、10年後までお金は入ってこないので、この会社は来期に倒産してしまいます。
このように、単に資産と負債の額を示すだけでは情報法としては不十分なのです。
そのため、B/Sでは「いつ」お金が増減するかという情報も表示します。
具体的には以下のように、資産と負債をそれぞれ流動と固定に細分化します。
- 流動資産(流動負債)
-
1年超えて増えるお金(1年以内に減るお金)
- 固定資産(固定負債)
-
1年超えて増えるお金(1年超えて減るお金)
こうすることで、「流動資産 > 流動負債」という関係をみることで、翌期の会社の資金繰りがわかるようになっています。

おじさん(先生)流動と固定に区分することを、長短分類と言うんじゃ
資産と負債は流動と固定に区分する
最後に
これで本記事は以上になります。
本記事では貸借対照表を理解するうえで大事なエッセンスについてまとめました。
貸借対照表は、資金の調達と運用の状態を示す財務諸表です。
しかし実際にはそれだけで留まりません。
一見シンプルな財務諸表ですが、実は奥が深い財務諸表なのです。
特に近年は貸借対照表の役割が変化しており、かつ、財務諸表としての重要性も高くなっています。
本記事で、貸借対照表について少しでも理解が深まれば幸いです。





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流動資産の一年以内に増えるお金が一年超えて増えるお金になってます。