こんにちは!
今回は日商簿記検定3級を学習している方を対象に、貸倒れの3パターンの仕訳を解説します。
貸倒の3パターン
まず3パターンから確認しましょう。
① 掛け販売した期に貸倒れ
② 掛け販売した翌期に貸倒れ(見積の範囲内)
② 掛け販売した翌期に貸倒れ(見積を超過)
①と②・③の⼤きな違いは決算を通過したかどうかです。
決算を通過していない①は貸倒引当⾦を設定する前に貸倒れが⽣じています。
対して、②・③は貸倒引当⾦を設定した後に貸倒れが⽣じています。
「貸倒引当金を設定する=費用計上をする」ということなので、②・③は費用計上をした後に貸倒れた場合ということもできます。
また、②と③については、貸倒引当⾦を超過するか否かが異なります。
貸倒引当⾦はあくまでも決算時点の⾒積りに基づき計上するものなので、貸倒引当⾦の⾦額と翌期の貸倒額にはズレが⽣じるのが通常です。
その結果、②予想の範囲内なのか③予想オーバーなのかに分かれます。
各3パターンの仕訳
① 掛け販売した期に貸倒れが⽣じた場合
この場合、貸倒引当⾦を設定していないので単に費用(貸倒損失)を計上すればOKです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒損失 | ×× | 売掛金 | ×× |
② 掛け販売した翌期に貸倒れが⽣じた場合(貸倒額≦貸倒引当⾦)
X1年度の決算で貸倒引当⾦を200計上し、X2年度に180貸倒れた場合
この場合、貸倒引当⾦を設定しているため貸倒引当金を取り崩します。
逆に言えば、借方は費用にしません。
なぜなら、借方を費用にしてしまうと、前期の決算で計上した費用と合わせて二重計上になってしまうからです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 180 | 売掛金 | 180 |
② 掛け販売した翌期に貸倒れが⽣じた場合(貸倒額≦貸倒引当⾦)
X1年度の決算で貸倒引当⾦を200計上し、X2年度に250貸倒れた場合
この場合、貸倒引当⾦を設定しているため貸倒引当金を取り崩します。
しかし見積りをオーバーした金額は貸倒引当金を取り崩すことはできないため、この部分は費用にします。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 200 | 売掛金 | 250 |
貸倒損失 | 50 |
貸倒損失と貸倒引当金繰入の違い
上記の③の仕訳において、費用の勘定科目を「貸倒損失」ではなく「貸倒引当金繰入」と間違えてしまうことがあります。
両者は以下のように区別しましょう。
- 貸倒損失:実際に貸倒れが生じた際の費用
- 貸倒引当金繰入:貸倒を見積もった際の費用
「実際」or「見積り」で区別をします。
③は実際に貸倒れが生じていますので貸倒損失になるのです。
そのため、貸倒損失は期中仕訳で生じ、貸倒引当金繰入は決算整理仕訳で生じるということもできます。
また、貸倒引当金繰入の相手勘定は必ず「貸倒引当金」となります。
最後に
結局、どのパターンに該当したとしても、「貸倒額=費用の合計額」となります。
そのため、
- すでに費用計上している場合(決算している場合)は貸倒時には費用計上の必要がない
- まだ費用計上していない場合は、貸倒時に費用計上をする
となります。
コメント