第168回 日商簿記検定1級の感想会

昨日、簿記1級受験されたみなさまお疲れさまでした!

悲喜こもごも色々な感想があると思いますが、
個人的な所感を記しておきます。

nobo

解説動画はこちらをご覧下さい👇

目次

全体として

まず全体的な感想ですが、

今回は簡単な回だった!

と言えます。

前回の167回の問題がアレだっただけに、
揺り戻しがくると予想していましたが、
まさに、その通りになりました。

しかし、すべてが簡単というわけではなく、

  • 商業簿記はやや難しく、会計学は簡単め
  • 工業簿記は標準的で、原価計算は簡単め

と、メリハリがついていました。

そのため、

会計学と原価計算でしっかり点数を稼ぐ!
商業簿記と工業簿記で大幅失点しない!

ことが、合格点を超えるうえで大事な試験でした。

以下、科目別の感想です。

商業簿記

ここ最近の傾向通り、「決算の総合問題」でした。

そして相変わらず、収益認識関係(売上原価含む)が難しく出題されました。

一方、それ以外は難易度はそこまで高くなく比較的解きやすい感じでした。

備品の減価償却(前期から改訂償却額に切り替わる点)や法人税等(課税所得の算定)はやや難しめでしたが、
収益認識が難しかったことを考えると、ここでの失点はなるべく避けたかったです。

また、社債利息の見越計上や税効果は、合格できる人とそうでない人で、正答率の差が大きく開くと思います。合格される方は、「難易度は多少高いけど正答は可能」という論点の取りこぼしをしません。

今回合格点を下回ってしまった方は、このような箇所の取りこぼしをしないように今後気をつけるようにしましょう。

会計学

「理論問題」と「連結会計」からの出題でした。

理論問題は主に以下の論点から出題されました。

  • 収益認識
  • 固定資産の減損会計
  • 繰延資産
  • ヘッジ会計
  • 包括利益
  • 圧縮記帳
  • 企業結合会計
  • 事業分離会計

いずれも計算問題を復習していれば正答可能なものばかりでした。
ただ、広範に出題されているので、全問正解は案外難しいと思います。
最低2問、できれば3問正解したいところです。

連結会計は、一部売却、持分法、段階取得の基本的な問題でした。

ただ、2社・3年分の金額を解答する必要があったため、連結会計が苦手な方は苦戦してしまう問題だったと思います。逆に、連結会計をしっかり復習している方は、15分程度の時間で満点を取ることも十分可能な問題です。

連結会計は毎回出題されている超重要論点であるため、今回できなかった方は、しっかりと連結会計の復習をしましょう。

工業簿記

「費目別計算」からの出題でした。

出題内容はいずれも基本的なものでしたが、
仕訳や勘定記入が問われていたので、この点で面食らった方も多いと思います。

工業簿記の仕訳は、勘定連絡図をイメージできるかどうかが肝です。
今回の仕訳ができなかった方は、勘定連絡図と仕訳の関係を見直すといいでしょう。

また、出題内容は確かに基本的なものでしたが、
計算の手数が多いため、丁寧に解かないとミスをしてしまう問題となっています。

普段から計算演習をやりこんでいたかどうかで差がつく問題だったと思います。

問4の製造原価の算定は、予定価格を用いるので途中の計算が間違えていたとしても正答可能な問題となっており、親切設計でした。
この点に気づけず、問4をあきらめてしまった方は、非常にもったいないです。改めて、予定価格を用いるメリットを確認するようにしてください。

原価計算

「CVP分析」と「戦術的(業務的)意志決定」の問題でした。

CVP分析は理論問題が難しいですが、計算は簡単でした。
また、意志決定も難しくありません。

特にコメントもありません。計算の箇所は全問正解を狙いたいところです。

最後に

冒頭で「簡単な回だった」と言いましたが、
簡単と言えども、そこは天下の日商簿記1級。

ちょっと勉強しただけで合格できるような問題だったかと言えば、決してそうではありません。

今回は、"比較的"簡単だったというだけで、
商会・工原ともに試験範囲は広く、どこから出題されるかは試験問題を見るまでわかりません。受験生としては、まんべんなく、何度も復習しておく必要があります。

この回を簡単と言えるようになるためには、相当の努力が必要なのです。

また、簡単な問題ほど、計算力の差が如実にでます。
単純な計算ミスをしないのか、してしまうのか。
この差は、小さいようで非常に大きいです。

単純な計算ミスをしてしまう方の多くは、
そもそも演習不足であることが多いです。

そのため、合格点に届かなかったという方は、
改めて計算力の強化、具体的には、

問題演習をやりこむ

ことを徹底してください。

そうすればきっと、簡単な回でしっかり点数を取りきることができるでしょう。

 おまけ 

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コメント

コメント一覧 (21件)

  • 今回5回目の受験生です。
    工業簿記13点
    原価計算18〜19点

    なのは自己採点で確定しましたが、
    商業簿記minimum11点
    会計学理論8点中6点

    という出来でした。
    たぶん頭のかすかな記憶で採点すると61点程度になると思います。

    これはさすがに不合格になってしまいますよね?(泣)

    • >頭のかすかな記憶で採点すると
      記憶の精度次第ですが、
      自己採点61点なら、70点到達しない可能性が高いとは思います。。。あくまで予想配点なので、絶対ではありませんが。。。

      • わかりました。
        小生、独学で今回含めて5回受験してて、3回目のときは67点で不合格でした。毎回最後の一押しが足りないようで物凄く悔しいです。

        今独学はやめてCPA会計学院さんのほうで公認会計士講座受講への方向転換をしようかと考えてます。もし何かご教授いただく機会があればよろしくお願いします。

        返信ありがとうございました。

  • 1級講義では大変お世話になりました。
    先生の論理的な説明が、理解重視で進めたい自分にはとても合っており、
    おかげ様で会計が好きになり、終始楽しく学ぶことが出来ました。

    2023年8月から勉強を始めて、今回は2度目の受験で、
    商14/会25/工22/原19
    の計80 でした。

    前回の失敗を糧にしつつも奇問に振り回されないように、
    先生の仰った「基本重視」を貫きました。
    ここに至るまで全て、登川先生のお陰だと大変感謝しております。
    ありがとうございました。
    PS.「財務会計の基本」も購入して気分転換に拝読していました。

    • おお!その点数は安全圏入ってますね!
      (まだ早いですが、)おめでとうございます!

      財務会計の基本もご購入くださりありがとうございます(n^o^)b

  • 登川先生いつもお世話になっております。今回の試験の自己採点をしたのですが、
    商10~11/会22/工25/原23/80~81だったのですが、商業簿記で足切りにならないか心配です、、、そこで質問なのですが、一つの数値に配点が2点とか、つくことはあるのでしょうか??
    回答よろしくお願いします。

    • 足切りリスクは心配なりますが、こればかりは祈るしかないですね。。。

      >一つの数値に配点が2点とか、つくことはあるのでしょうか??

      これはあります!
      ただ商業簿記のように配点箇所が多いものは、
      基本的に各1点がベースだと思います。

  • ご丁寧に返信いただき、大変恐縮です。
    本当にありがとうございます。
    今回だめでも、また先生の講義を聞いてがんばります。

  • 連結はガチ簡単だった
    工業簿記で材料副費忘れちゃってたのと、原価計算の理論がわかんなかったのが気がかりかも

  • コメント失礼します
    今回の簿記一級の自己採点の結果が
    商業簿記14点
    会計学 23点
    工業簿記11〜12点(他の予備校を比較して)
    原価計算24点
    合計点 72〜73点でした
    今回の工業簿記で逆傾斜がかかって
    足切りとなる可能性はあるでしょうか?
    工業簿記の正答箇所は
    仕訳問題① ②
    賃金勘定の仕掛品の部分
    操業度差異 X、Yの当期製造原価 でした

    • なんとも言えませんが、個人的にはきっと大丈夫だと感じます。
      他の方の回答にも書きましたが、今回は傾斜がかからないと思っているので、
      各スクールの採点をシンプルに信じていいと思います!

  • 登川先生、いつもお世話になっております。中学三年生です。
    今回のテストの自己採点の結果を登川先生と共有したいと思い、この場を借りコメントさせていただいております。
    自己採点の結果は・・・

    CPA 商業 11 会計 25 工業 15 原計 19 or 21 合計 70or72(問1の④があっているかどうか…)
    TAC 商業 12 会計 25 工業 15 原計 19    合計 71 
    大原 商業 12 会計 25 工業 15 原計 21    合計 73
    NET 商業 13 会計 25 工業 14 原計 21    合計 73

    といった感じでした。
    商業簿記が難しく、簡単な箇所はとったつもりですが、落としてしまっている所もあります。
    商業簿記の傾斜配点はどのくらいくるか非常に心配です。
    合計点数のボーダーラインは超えられたのですが・・・。合格に届いていることを願うのみです。😟

    話は変わりますが、登川先生の作成された模擬問題、とても参考になりました!有難うございました!

    • 中学3年生で簿記1級とは、すごいですね!
      「絶対」とは言えませんが、各スクールの採点でどれも70点超えてる(&足きりしてない)なら、大丈夫だと思います!
      今回は普通の問題だったので、傾斜配点はかからず、通常の採点がされるのではないかな〜と個人的には予想してます。

  • コメント失礼します。
    自己採点では、商7/会18/工21/原24の70点だったのですが、合格の見込みはあるでしょうか?商業簿記で合っている箇所は各解説で落としてはならないとされている所でした。

    • 足きりリスクがあるってことですね。
      配点箇所次第で数点動くので、合格見込はあると思いますよ!

  • 登川先生、いつもお世話になっております。
    先生の授業がわかりやすくて、理解度が高まりました。
    昨日の試験を受けて、今回自己採点したところ、商業10、会計14、工業20、原価20の64点だったのですが、合格の可能性はあると思いますか。
    今回は比較的簡単だったので、傾斜配点はあまりないですかね…

    • 他のスクールの配点箇所も確認した方がいいとは思いますが、
      6点くらいならひっくり返る可能性はなくはないと思います。

      ただ、おっしゃる通り、前回のような極端な傾斜配点はないのではないかと予想してます。

      • tacさんでは67、NSでは64でした…
        下振れすることもあるものなんですか?
        何度もすみません。

        • 下振れはあまり聞かないですね。
          TACさんの67を基準にすると70まで3点ですが、
          3点くらいの逆転は毎回起きてはいるので、合格可能性はあるとは思います。
          ただ、正直、5分5分かなという気がします。

          • ご丁寧に返信いただき、大変恐縮です。
            本当にありがとうございます。
            今回だめでも、また先生の講義を聞いてがんばります。

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