在庫は天使?それとも悪魔?滞留在庫による黒字倒産を解説します

こんにちは!

黒字倒産という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

利益が出ていて順調そうにみえる会社が、突如倒産してしまうことをいいます。

黒字倒産の1つの理由は「在庫」です。

今回は滞留在庫による黒字倒産を題材に在庫の危険性について解説します!

目次

在庫が滞留すると倒産するわけ

滞留在庫による倒産がわかる具体例

簡単な具体例を作りました。

具体例
  • 当社は100円で仕入れた商品を300円で販売している
  • 仕入代金は翌期に払うものとする
  • 当期に101個仕入れ、1個販売した結果、100個が在庫である

在庫が100個という極端なケースです。

これを仕訳にすると以下のようになります。

商品101個の仕入

借方科目金額貸方科目金額
商品10,100買掛金10,100

商品1個の販売

借方科目金額貸方科目金額
現金300商品100
販売益200
※説明の便宜上、分記法にしてます

この結果、当期の財務諸表はこうなります。

  • 損益計算書:利益200
  • CF計算書:現金増加300
  • 貸借対照表:商品10,000、買掛金10,100
ルーシー(勉強中)

利益が出ててるし、現金も増えてるから、一見問題なさそうに思えるわ

おじさん(先生)

そうじゃ、PL、CF計算書ともに順調そうにみえる。しかし注目すべきは貸借対照表じゃ

 ▼

B/Sには商品と買掛金が多額に計上されています。
もし、翌期に商品の在庫をきちんと販売できれば買掛金の支払いもできます。

しかし逆に、在庫が売れなかった場合どうなるか…

商品101個の買掛金の支払

借方科目金額貸方科目金額
買掛金10,100現金10,100

貸方に注目です。

在庫が売れなかったとしても仕入代金は支払わなければいけません。
そのため、現金の流入がないまま、一方的に多額の現金が流出してしまいます。

もしこれを支払えなければ倒産です。

ルーシー(勉強中)

利益が出てたのに倒産…ハッ!黒字倒産…!

これが在庫による黒字倒産の理由です。

滞留在庫が黒字倒産につながりやすい理由

滞留在庫は黒字倒産の理由として真っ先に挙げられることが多いです。

なぜ滞留在庫が黒字倒産の代表例になるかというと、取引の構造に原因があります。

商品売買は、下記のように「1.現金の流出」→「2.現金の流入」という順番で行われます。

  1. 商品の仕入(または製品の製造)
  2. 商品または製品の販売(現金の回収)

会社は1の段階において2を見込んで商品を仕入れます。
そのため、もし見込が外れてしまい在庫が滞留してしまうと一方的に現金が流出してしまうのです。
また、仕入代金の先延ばしもできないことが多いです。

このように、商品売買は黒字倒産が起きやすい取引構造になっているのです。

ルーシー(勉強中)

なるほど〜

それ以外の弊害

滞留在庫は他にも弊害があります。

  • 在庫を保管・管理するためのコストがかさむ
  • 在庫を一掃するために値下げをすることで採算やブランドイメージの悪化
  • 新規投資をする意欲が減衰する

在庫が滞留してしまうことは、弊害ばかりなのです。

そのため、適切な在庫を保有するという在庫管理は会社にとって非常に大切になります。

在庫は天使か悪魔か

会計上、商品は会社の資産としてB/Sに計上されます。

しかし商品には2つの意味があります。

  1. 翌期に販売することで現金を獲得できる
  2. 在庫の滞留により、現金が流出する

販売できれば現金を獲得できる一方、売れずに滞留してしまえば倒産する可能性が出てきます。

商品は会社の成長を引っ張る意味では天使ですが、在庫管理を一歩間違えば倒産に導く悪魔になってしまうのです。

ルーシー(勉強中)

在庫は天使と悪魔の2面性があるのね…

最後に

冒頭の具体例で示したとおり、滞留在庫は損益計算書とCF計算書だけでは気づきづらいです。

利益があがっていて現金が増えていても、裏側で滞留在庫の危険性が迫っている可能性があります。
そのため、財務諸表を見る際は在庫の増減も確認することが重要です。

参考

P/LとCF計算書における滞留在庫の兆候

損益計算書では期末商品棚卸高や商品評価損から、CF計算書では商品の増加額から、滞留在庫の兆候はつかむことができます。

今回は在庫の怖さについて解説をしました。

在庫を保有しないビジネスが最良のビジネスモデルであると言われるくらい、在庫管理は難しいのです。

 ▼

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そんなヒロミさんはかつてこのように言っていました。

「ジムはいいよ〜、なんせ在庫がないんだから」

この一言からも、在庫が経営上のネックになりやすいことがうかがえます。

 おまけ 

おじさん(先生)

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