資本取引・損益取引区分の原則を理解する!(ヤバい会計学#8)

ヤバい会計学とは

ヤバい会計学は、 日商簿記検定受験生向けの会計学
簿記の学習をするうえで、知っておくべき会計理論をかみ砕いてわかりやすく解説します。

ボブといっしょに勉強しましょう!

会計ノーツ
ヤバい会計学 | 会計ノーツ
ボブ

がんばろう!

目次

今回学ぶこと

今回のテーマは資本取引・損益取引区分の原則です!

ボブ

資本取引と損益取引?

会計の根幹の1つともいえる大事な考え方です。

しっかり理解しましょう!

資本取引・損益取引区分の原則って?

資本取引・損益取引区分の原則とは、「株主との取引で資本が増加しても、損益計算書には計上しちゃダメよ」という原則のこと

ボブ

・・・

わかりやすく解説します。

 ▼

次の2つの取引、

  • 増資(株主から現金の出資を受ける)
  • 売上(商品を販売し現金を受け取る)

これを貸借対照表(BS)ベースで考えてみると、

どちらの取引においても、

「資産(現金)が増えた分だけ、BSの資本が増加する」

ことがわかります。

増資と売上の貸借対照表への影響

では、

  • 増資額→100円
  • 売上金額→200円

であった場合、それぞれ、利益はいくらになるでしょうか?

ボブ

・・・

損益計算書(PL)を作って確認してみましょう。

資本取引と損益取引の財務諸表への影響
ボブ

増資は利益にならずに、売上代金の方は利益になるのか

そうなんです。

増資は利益にはカウントされません。

仕訳的にもそうですね。

借方科目金額貸方科目金額
現金100資本金(P/L非計上)100
増資の仕訳
借方科目金額貸方科目金額
現金200売上(P/L計上)200
売上の仕訳
ボブ

この違いはなんなの…?

ここで、今回のキーワードです!

ぜひ次の用語を覚えるようにしてください。

資本取引

株主との取引によって資本が増減する取引(PLには計上されない取引)

損益取引

資本取引以外(PLに計上される取引)

さっきの具体例でいえば、増資が資本取引で、売上が損益取引になります。

増資は資本取引なので、PLを経由することなく直接BSの資本を増加させるのです。

ボブ

増資と売上の違いは、株主との取引かどうかっていうことだったんだ

増資以外では、利益の配当も資本取引に該当します。

なぜなら、配当金は株主に対して支払う取引だからです。

配当金は資本取引なので、利益剰余金を直接減額させるのです。

借方科目金額貸方科目金額
利益剰余金(P/L非計上)××現金××
配当時の仕訳(未払配当金は省略)
ボブ

借方を費用にしないのは、資本取引だからなのか!

資本取引と損益取引を区別しないとヤバい

もし、資本取引と損益取引を区別しなければヤバいことがおきます

ボブ

ここからヤバい会計学の真骨頂だね

〜資本取引をPLに計上すると〜

(期中)

株主:会社の運転資金が不足しているのですね。では、1億円出資いたします。ぜひ、これを元手に利益をしっかりと稼いで下さいね。

社長:任せて下さい!

[temp id=3]
(時は流れ・・・)

 ▼

(決算手続き中)

社長:どれ、当期の利益はどんなもんじゃ?

部長:それが、、、あまり芳しくなく、ちょうど利益はプラスマイナス0となりそうです…

社長:なんと!それは困ったの。せっかく出資をしてもらったのに、利益がゼロだと株主に顔向けができんぞ。なんか利益に計上し忘れている取引はないのか?

部長:と言われましても…こちらが、いま作成中の損益計算書なのですが。

社長:どれどれ見せてみろ・・・む!むむ!見つけたぞ!

部長:早い!何がもれていましたか?

社長株主から出資してもらった1億円が利益計上されておらん!

部長:え?どういうことですか?

社長:出資された分だけ、我が社の現金も資本も増えておる!つまりこれは、儲かったということじゃ!すなわち、これは利益じゃ!

部長:さすが社長です!早速1億円をPLに計上します!

社長:これで、株主にも自信もって報告できる!ついでに、さらに増資をお願いして、翌期も利益を稼いでいくぞ!

ボブ

これはヤバい…

「資本取引と損益取引を区別しない」というのは、「資本取引をPLに計上する」ことを意味します。

ヤバい話からわかるとおり、資本取引をPLに計上すると利益の金額はめちゃくちゃになります

そもそも利益とは、「株主からの出資額を元手にしていくら増やせたか?」という金額です。

にも関わらず、その元手を利益としてカウントすると、利益の意味をなさなくなってしまうのです。

ボブ

株主からすると、自分が出資した額を「これが儲けです」って言われたら、呆気にとられちゃうね

 ▼

同じことが配当金にも言えます。

資本取引である配当金をPLに計上すると、やはり利益がおかしくなるのです。

利益は株主に帰属する金額ですが、

もし、株主への配当を費用としてPLに計上すると、配当を払う分だけ当期の利益が減ることになります。

つまり、配当金の額だけ、株主が損しているように見えてしまうのです。

配当金を損益計算書に計上しない理由

配当金は株主の手もとに届いているので、株主は損していません。

よって、配当金の支払額もPL計上しないのです。 

ボブ

結局その理由は、「資本取引だから」の一言で済むんだね

その通りです。

最後にボブから一言

ボブ

株主との取引を損益計算書に計上すると、利益が変になる!

資本取引・損益取引区分の原則とは、「株主との取引で資本が増加しても、損益計算書には計上しちゃダメよ」という原則のこと

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この記事を書いた人

CPA会計学院で公認会計士講座の講師をしています。会計が大好きで、どうすればわかりやすく教えられるかを日々考えています。
(略歴)慶應高校→慶應大学(在学中に公認会計士試験合格)→監査法人トーマツ→CPA

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