- 当期末B/Sのその他有価証券評価差額金の金額を算定する際に、期首の洗替処理を加味しないのはなぜですか?
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前期末のその他有価証券評価差額金は、当期に繰り越されるからです。
- 前期にA社株式を100円で取得した
- A社株式の前期末時価は120円
- A社株式の当期末時価は150円
当期末の貸借対照表に計上される、その他有価証券評価差額金はいくら?(税効果は考慮しない)
まず当期の仕訳を考えてみます。
期首の再振替仕訳(洗替処理)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
そ評 | 20 | A社株式 | 20 |
期末の時価評価
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
A社株式 | 50 | そ評 | 50 |
これらの仕訳を集計すると、その他有価証券評価差額金の当期末B/S計上額は30円になりそうです。
洗替△20 + 時価評価50 = B/S30・・・合ってる?
しかし、これは違います。
正しくは、50円になります。
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その理由は、前期末に計上したその他有価証券評価差額金20は当期に繰り越され、洗替処理は、これを相殺することになるからです。
このため、洗替処理後のその他有価証券評価差額金の残高はゼロになります。
よって、決算整理仕訳で計上したその他有価証券評価差額金50円、その全額がB/S計上額となるのです。
つまり、「B/S30」という間違いは、「前期末のその他有価証券評価差額金が、当期に繰り越されている」点を考慮してないため誤りなのです。
その他有価証券評価差額金はB/S項目だから、繰り越される点がポイントだね
その通りじゃ!決算の総合問題を解いてみると、決算整理前残高試算表にその他有価証券評価差額金は計上されてないはずじゃ。それは、当期首の洗替処理により、繰越額と相殺され残高がゼロになっているからなのじゃ
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なお、上記の説明では簿記の1巡をベースに説明しましたが、「その他有価証券評価差額金のB/S計上額の意味」から考えることもできます。
その他有価証券評価差額金のB/S計上額の意味
- その他有価証券評価差額金・・・その他有価証券の含み益
- 貸借対照表に計上される額・・・当期末現在の金額
∴ その他有価証券評価差額金のB/S計上額は、「当期末における含み益」となるべきであり、それは50円である(30円は当期末の含み益ではなく、前期末から当期末にかけての含み益の増加額)。
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