
自分は応用力がないから、難しい問題が解けるようにならないな

なにボブ?応用力がないから難しい問題が解けない・・・逆に考えるんだ「応用力を身につければ解けるようになる」と考えるんだ
公認会計士試験においては、初めて見るような応用的な問題(初見の問題)が必ず出てきます。それを解くために必要なのは、一般的に「応用力」と言われます。
応用力というのは抽象的なものなので、応用力をつけようと思っても何をすればいいのかと悩んでしまいます。
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今回は「応用力とはそもそも何か」とそれをもとにした「応用力の身につけ方」について登川の考え方を述べたいと思います。

応用力を身につけるぞ!
応用的な問題とその解説
応用的な問題の具体例(本試験の過去問)
直近の短答式試験でこんな問題が出題されました。
問題
・P社はS社株式の70%を所有し、連結子会社としている。
・P社はA社株式の20%を所有し、持分法適用関連会社としている。
・S社はA社に土地を売却し売却益150を計上したため、連結上において未実現利益30(150×20%)を消去した。
非支配株主持分の金額はいくらか?(算定の方法は?)
※ 平成31年第Ⅰ回短答式試験 問題26(ノーツ用に改題してます)
※ 解答解説はこちら(P18以降です)

え、S社がA社に土地を売却?子会社と関連会社の取引なんて知らないよ汗

じゃろな。本質をつかみやすいようにあえて難しい例を使って説明するんじゃ。ちなみに、試験委員も難しすぎると感じたのか実際の問題文にはヒント※が入っておったぞ
※ 問題文には以下のヒントが入っていました(文言そのまま)
なお,消去すべき売却益のうち,S社の非支配株主持分に係る部分については,S社の非支配株主に負担させることに留意する。
答えと解説
A.S社資本から未実現利益の額を控除して算定する
S社の資本から未実現利益30を控除して非支配株主持分を算定します。
つまりアップストリームと同じように取り扱うことになります。


本当だ!アップストリームみたく資本から30引いてる!
この理由は「S社に帰属している利益を消去しているから」です。土地の売却はS社が行っているので、土地売却益はS社が計上しています。よってアップストリームと同じようにS社の利益を減少させることになります。

た、確かに言われればわかるけど・・・でも、どういう勉強をしていればそんな応用力をつけられるの?

そのためにはまず「応用力とは何か」を考えてみるぞ
応用力とは
そもそも応用力とはなんでしょうか。自分は、
インプットした知識をベースに、その場でロジックを組み立てる力
と思っています。別のいい方をすると、
自分の知ってる論点(インプットした論点)に置き換えて考える力
です。
この定義のポイントは、
応用力のベースは、インプットした知識
という点です。
試験時間中に考える道具は頭の中にしかありません。つまり自分が勉強した知識を活かして考える他はないのです。


応用力は知識に裏付けされたものなのじゃ。決して才能とかセンスとかっていうものじゃないぞ
そのため、インプットの質を高めることができれば、応用力を身につけることができるのです。

普段から応用力を身につけるように勉強することが大切なのか。そのために意識すべきことは何?
応用力をつけるための勉強法
必要なのは基礎的な論点に対する理解です。
もっと具体的に言うと、下記の2点です。
- 理由づけして結論をおさえる
- その論点の本質をおさえる
この2点を意識して勉強すれば応用力は身につきます。
理由づけして結論をおさえる
論点をおさえる際は、結論を理由づけしておさえるようにしましょう。
アップストリームを例にしてみると、以下のような感じです。

アップストリームの結論が、ちゃんと理由付けされて導けています。
理由づけをせずに単に「アップストリーム→非支配株主持分のマイナス」とおさえてしまうと、単純暗記になってしまい応用力はつきません。
論点の結論は理由付けしておさえる
その論点の本質をおさえる
理由づけしておさえたら、その論点の本質もおさえるようにしましょう。
この本質というのは、さっきのロジックを
「結局、どういうことなのか?」
という視点で簡潔におさえることです。

一言でいうと?と自分に問いかけてもいいね
例えば、アップストリームを簡潔に言うと
「子会社の利益を消去したら、非支配株主持分の按分が減る」
という感じです。
注意点は、先程の「結論を理由付けしておさえる」ができていないと結論の単純暗記になってしまう点です。
「結論を理由付けしておさえる」ことができているからこそ「本質をおさえる」ことができるという関係にあります。

論点の本質をおさえる
応用的な問題に対する思考法
以上を普段の学習でおさえることができれば、あとは実際の問題でもその思考法を実践するだけです。
つまり、応用的な問題が出題された場合は、その論点の本質を考えるようにするのです。
- 「子会社から関連会社への土地の売却」の本質は?
-
子会社の計上した利益を消去すること
となるため、「アップストリームと同じだ」と気づくことができます。

このように本質を意識すれば
「結局S社の利益を消去している→じゃあアップストリームと同じじゃん」
という思考になり、正答することができます。
逆に、本質を捉えようとしなければ、単に表面上の「子会社と関連会社の取引は・・・」という部分だけで考えようとしてしまい、「知らないからわからない」となります。

いわゆる思考停止じゃ
その問題の本質を考えることで、自分の知っている知識から解くことができる
まとめ
今回の記事をまとめると、
普段の学習で
・結論を理由付けしてインプットする
・その論点の本質をインプットする
試験時間中に
・その論点の本質を考え、インプットした知識と関連付けて答えを出す
となります。
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今回は応用力について「本質をおさえる」という点から説明をしました。
「理解して勉強する」と言うと「理由付けしておさえる」というイメージがあります。しかし、単にそれだけでは、その論点のおさえこみはできても、応用力という意味では不足してしまいます。
初見の問題に対応するためには、その論点の本質までおさえることが大事なのです。
もし応用力がないなあと悩んでいる方は、この点を意識しながら勉強をしてみてください。
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