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【売上原価の算定】図解を用いてわかりやすく解説します(簿記3級)

簿記3級
このノーツを書いた人
nobo(登川雄太)

CPA会計学院で公認会計士講座の講師をしています。会計が大好きで、どうすればわかりやすく教えられるかを日々考えています。
(略歴)慶應高校→慶應大学→在学中に公認会計士試験と日商簿記1級に合格→監査法人トーマツ→CPA&会計ノーツ開設

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こんにちは!

今回は日商簿記検定3級の売上原価の算定について、図解を用いてわかりやすく解説します。

具体的には、

借 方 金額 貸 方 金額
仕入 ×× 繰越商品 ××
繰越商品 ×× 仕入 ××

この仕訳です。

「シークリ、クリシ」と覚えてしまっている方も多いと思いますが、本記事できちんと理解しましょう!

1.商品の決算の総論

まずは理解の前提となる知識から説明をします

(1)仕入と売上原価の違いと売上原価の算定方法

商品の決算をおさえるに当たっては、仕入と売上原価の違いをおさえる必要があります。
そこでまずは両者の定義から確認しましょう。

  • 仕入とは、購入した商品の原価
  • 売上原価とは、販売した商品の原価

もし在庫がなければ、仕入れた商品をすべて販売していることになるため、仕入と売上原価の金額は一致します。
しかし、在庫がある場合には仕入と売上原価の金額は不一致になります(上記の図では在庫1個分だけ仕入5個と売上原価4個にズレが出ています)。

ここで、仕入と売上原価の関係を具体的に式で表すと以下のようになります。

当期商品仕入高 + 期首商品棚卸高 – 期末商品棚卸高 = 売上原価

※ 商品棚卸高とは、商品在庫の金額のこと

この計算式は非常に重要です!

例えば、

  • 期首商品棚卸高が1個
  • 当期商品仕入高が5個
  • 期末商品棚卸高が2個

だった場合、売上原価は4個(=仕入5個+期首在庫1個−期末在庫2個)となります。
これは、「当期保有合計の6個から期末在庫2個を引けば売上原価4個になる」と考えればイメージしやすいでしょう。(当期に保有している商品は、当期に売れたか売れ残ってるかしかないのです)

仕入と売上原価の違いは理解できましたか?続いては、商品の決算でやりたいことを確認します

(2)商品の決算でやりたいこと

具体例商品の決算でやりたいこと

当社は商品を@100円仕入れ、@150円で販売しており、1個販売すれば50円の儲けがでる。

X1年度:
商品を5個仕入れ、そのうち4個を販売した(1個は期末在庫)。
X2年度:
X2年度は商品を5個仕入れ、X1年度の在庫と合わせて6個を販売した。

決算をせずに損益計算書を作成すると以下のようになります。

この損益計算書の問題点がわかりますか?

本来、売れた個数×50円が各年度の適切な利益であるはずなのに、そうなっていない点が問題です。
この原因は費用の金額が「仕入」になっているところにあります。

以下に示した損益計算書のように、費用の金額が「売上原価」であれば適切な利益になります

商品の決算でやりたいことは、この費用が売上原価verの損益計算書を作成することです。

売上原価verのPLを作るために、費用の金額を仕入から売上原価に修正を行います。

Point

  • 当期商品仕入高 + 期首商品棚卸高 – 期末商品棚卸高 = 売上原価
  • 損益計算書の費用は売上原価
ここまでが前提となる説明です。では、具体的な処理を確認していきましょう。

2.商品の決算の具体的処理

これ以降の具体例は以下の条件を前提に説明します。

  • 仕入単価は@100円、販売単価は@150円
  • 取引はすべて現金決済している。

(1)在庫がない場合(決算整理仕訳が不要の場合)

まず一番シンプルな在庫がないケースを確認していきましょう。

具体例在庫がない場合

当期に商品を5個仕入れ、すべて販売した。

では、スタート(決算整理前残高試算表)とゴール(当期の財務諸表)を確認しましょう。

今回は在庫がなく仕入と売上原価が一致する結果、決算整理仕訳は不要です。

<仕入と売上原価の関係>

仕⼊500円(5個)=売上原価500円(5個)

ただし、名称の変更は必要であるため損益計算書に写す際に科目名の変更を行います

Point

  • 在庫がなければ、決算整理仕訳は不要
  • PLに計上する名称を仕入から売上原価に変更する

(2)期末在庫のみある場合

続いて、期末在庫があるケースを確認していきましょう。

具体例期末在庫がある場合

当期に商品を5個仕入れ、4個を販売した結果、期末在庫を1個保有している。

このケースでは仕入と売上原価の関係は以下のようになります。

<仕入と売上原価の関係>

仕入500円(5個)−期末在庫100円(1個)=売上原価400円(4個)

では、スタート(決算整理前残高試算表)とゴール(当期の財務諸表)を確認しましょう。

費用に注目すると、決算整理前は500円ですがPLは400円であるため決算が必要であることがわかります。

<決算整理仕訳及び勘定記入>
決算整理仕訳の貸方において仕入を売上原価にするために期末在庫100円(1個)を費用から取り消します
また、借方においては、期末在庫は資産であるため同額を資産の増加にします。在庫を表す勘定科目は「繰越商品」といいます。

これが期末在庫の決算整理仕訳です
Point

  • 期末在庫がある場合の決算は、繰越商品××/仕入××
  • 期末在庫は「繰越商品」という名称でBSに計上される
補足決算整理仕訳をする理由

商品売買の決算整理仕訳は簿記3級のなかでも難しい論点の1つです。
商品に関する決算整理仕訳がなければ受験生的には楽ですよね。
実は、決算整理仕訳が不要な方法があります。

このように、仕入時は資産の増加としたうえで、売上時に売上原価を計上すれば、決算整理前の残高は財務諸表計上額と一致します。
(ちなみにこの仕訳の方法を売上原価対立法といいます)

ではなぜこの方法を採用しないかというと、売上時の2行目の仕訳が非常に面倒だからです。

想像してみて下さい。何かを売った時に、いちいちその商品の仕入原価を確認するのは手間ですよね。
よって実務上は、決算で在庫を調整することで一気に売上原価を計算する方楽なのです。

(3)期首在庫のみある場合

続いて、(2)の翌年のことを考えていきましょう。

具体例期首在庫のみある場合

翌期に、商品を5個仕入れ、期首の在庫1個も合わせて合計6個を販売した。

前期の期末在庫は、当期の期首在庫となります。
そのため(2)の期末在庫は、今回にとっての期首在庫となっています。

このケースでは仕入と売上原価の関係は以下のようになります。

<仕入と売上原価の関係>

仕入500円(5個)+期首在庫100円(1個)=売上原価600円(6個)

では、スタート(決算整理前残高試算表)とゴール(当期の財務諸表)を確認しましょう。

先ほどと同様に、決算整理前残高とPLの費用の金額がズレています。
そのため、やはり決算整理仕訳が必要です。

<決算整理仕訳及び勘定記入>
決算整理仕訳の借方において仕入を売上原価にするために期首在庫100円(1個)を費用の発生とします
また、貸方においては、期首在庫はすでに売却し資産を保有していないため資産の減少とします。

補足繰越商品勘定の決算整理前残高

1点注⽬すべきは繰越商品勘定です。
決算整理前残⾼試算表の繰越商品勘定の⾦額は前期末在庫(つまり、当期⾸在庫)を意味しています。

この理由は、前期決算で繰越商品勘定に計上した前期末在庫が当期に繰り越され、それがそのまま当期末まで持ち越されるからです。

本来、前期末の在庫は当期中に売れているはずですが、期中仕訳では繰越商品勘定は減少させないため、このようになるのです。

Point

  • 期首在庫がある場合の決算は、仕入××/繰越商品××
  • 繰越商品勘定の決算整理前残高は期首在庫を意味する
これが期首在庫の決算整理仕訳です。ここまでで期首在庫・期末在庫の決算が理解できましたか?ここまで理解できれば最後のパターンは簡単におさえられます

(4)期首・期末在庫がある場合

ここまでの理解を使って、問題で実際に出題されるケースをみていきましょう。
なお下記の具体例も(2)の翌期という前提です。

具体例期首・期末在庫がある場合

翌期に、商品を5個仕入れ4個を販売した。

<仕入と売上原価の関係>

仕入500円(5個)+期首在庫100円(1個)−期末在庫200円(2個)=売上原価400円(4個)
前提で確認したとおり、仕入に期首・期末在庫を加減することで売上原価が算定できます

では、スタート(決算整理前残高試算表)とゴール(当期の財務諸表)を確認しましょう。

<決算整理仕訳及び勘定記入>
期首在庫の決算整理仕訳と期末在庫の決算整理仕訳を別々に行います。

この仕訳自体は(2)と(3)でやったものと同じ理解は同じです。

これがいわゆるシークリクリシの仕訳ですね

仕訳を勘定に転記すると以下のようになります。

上記の仕入勘定をみてみましょう。
仕入勘定の残高は「仕入+期首在庫−期末在庫」として算定されているため、勘定上で売上原価が算定できています。

つまり、シークリクリシで決算が無事に成功した、ということになります。
なお、これは以下のように動きとして捉えるとイメージしやすいと思います。

決算整理前の残高から始まり、

①まず、期首在庫の金額を繰越商品から仕入勘定に送って、当期保有高の合計600円を算定する。

②次に、600円のうち、200円は売れ残りであるため、費用から取り消して、資産の増加とする。

最後に

本記事は以上です。

借 方 金額 貸 方 金額
仕入 ×× 繰越商品 ××
繰越商品 ×× 仕入 ××

この仕訳が理解できましたでしょうか?

本記事の解説のとおり、仕訳だけでおさえようとするのではなく勘定ベースでおさえることが大切です。

売上原価の算定の仕訳を理解しておかないと、2級で苦労しますので暗記ではなくぜひ理解してほしいと思います。

本記事で理解が深まれば幸いです。

コメント

  1. もずく より:

    先日は記事を紹介していただきありがとうございました!
    今回の記事も楽しく読ませていただきました。
    特に費用の金額が仕入ver.になっているP/Lを見たことで、たしかに決算整理仕訳って必要なんだなって思えるようになりました。
    これからも記事楽しみにしています!

    • nobo(登川雄太) nobo(登川雄太) より:

      おー、良かったです!メッセージが届くか心配だったので安心しました🌝
      これからもよろしくお願いします👍

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