残存価額ゼロの定率法は改定償却額、保証率、償却保証額とか色々あってよくわかんないなあ
考え方を理解さえすればそんなに難しくはないんじゃ
今回は新定率法(200%定率法)と改定償却額についてわかりやすく解説をします。
新定率法とは残存価額ゼロの定率法ですが、定率法は帳簿価額に一定割合をかけることで減価償却費を計算するので、そのままでは残存価額ゼロにはなりません。
そこでどうするかというと、耐用年数が近づいてきたら、定額法に変更することで半ば強引に残存価額ゼロにもっていきます。
こんなイメージです。
ここで論点が一つ。
いつまでが普通に定率法で、いつから定額法に切り替えるか?
です。
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定額法に切り替えるタイミングは、償却保証額を基準に判定します。
具体例償却保証額
- 取得原価10,000
- 耐用年数7年
- 償却率0.286(1÷7年×200%)
- 保証率0.08680
- 改定償却率0.334
これを例に説明します。
①まず償却保証額を求める
償却保証額:取得原価10,000×保証率0.08680=868
②各年度の減価償却費を普通の定率法で求める
1年目:取得原価10,000×0.286=2,860
2年目:帳簿価額7,140×0.286=2,042
3年目:帳簿価額5,098×0.286=1,458
4年目:帳簿価額3,640×0.286=1,041
5年目:帳簿価額2,599×0.286=743←注目!
!!
5年目の普通に計算した減価償却費743は償却保証額の868を下回っています。
この場合、この5年目から定額法に切り替えることになります。
耐用年数まで残り3年なので、帳簿価額2,599÷3=866としたくなりますが
実際には改定償却率を使います。
よって5年目の減価償却費以下のようになります。
5年目:帳簿価額2,599×改定償却率0.334=868
さらに定額法なので、6年目以降も同額868になります。
(実際には、最終年度は端数処理の分だけズレます)
これが新定率法における減価償却費の算定方法です。
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償却保証額の趣旨は
定率法による減価償却費が少なくなったら定額法に切り替えよう。
そして、
"少なくなったら"の基準として償却保証額を用いよう
という感じです。
(つまり、償却保証額の"保証"というのは「最低868以上は減価償却費を計上することを保証しますよ」みたいなイメージでOKです)
まとめ
- 償却保証額:定額法に切り替えるための基準となる額(取得原価×保証率)
- 保証率:償却保証額を求めるための率
- 改定償却率:定額法に切り替えた場合の償却率
①通常の償却率によった減価償却費
②償却保証額
① < ②
の場合には定額法に切り替える。
定額法に切り替えるタイミングは償却保証額から判定するのが原則ですが、受験的には他の方法でも判定ができます。
①定額法と比較する
"少なくなったら"の基準として「定額法による額」を用いて判定する方法です。
具体的には、その年度から定額法に切り替えた場合の減価償却費と比較します。
4年目:
定率法:帳簿価額3,640×0.286=1,041
定額法:帳簿価額3,640÷4年=910
判定→定率法の方が大きいので、定額法には切り替えない。(つまり減価償却費は1,041)
5年目:
定率法:帳簿価額2,599×0.286=743
定額法:帳簿価額2,599÷3年=866
判定→定率法の方が小さいので、定額法に切り替える。
②改定償却率から逆算する
改定償却率は定額法の償却率です。定額法の償却率は、「1÷耐用年数=償却率」となるため、逆に償却率がわかっていれば耐用年数が逆算できます。
先の例では、1÷0.334=3年になるので、5年目以降から定額法に切り替えます。
保証率や償却保証額のデータが問題になくても,この2つのやり方なら自分で判定できるんだね
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