ヤバい会計学は、 日商簿記検定受験生向けの会計学。
簿記の学習をするうえで、知っておくべき会計理論をかみ砕いてわかりやすく解説します。
ボブといっしょに勉強しましょう!
がんばろう!
今回学ぶこと
今回のテーマは「会計期間の公準」です!
公準?
公準とは、会計の大前提のことで3つあります(ギルマンの3公準といいます)。
ギルマンの3公準
- 企業実体の公準
- 貨幣的評価の公準
- 会計期間の公準(別名、継続企業の公準)
3公準自体は、当たり前すぎて普段は説明されないことが多いです。
しかし公準のうち、「会計期間の公準」を知っておくことは重要です。
なぜなら、決算の理解につながるからです。
決算の理解につながってるんだ!?だからヤバい会計学で取り上げるんだね。
ちゃんと理解するぞ!
会計期間の公準って?
会計期間の公準とは、会計期間は人為的に区切らないといけない、という会計の大前提のこと
例えば、3月決算の会社の場合を考えてみます。
3月決算なので、毎年3月31日が一区切りと考え、財務諸表を作成します。
うんうん
しかし、よく考えてみてください。
本当に「毎年3月末が一区切り」ということに合理性はあるのでしょうか?
3月末が一区切りの合理性…
会社は半永久的に事業活動を継続します。
であるなら、3月末が一区切り、とはならないはずです。
どういうこと?
例えば、3月31日に商品を仕入れて、その商品を4月1日に販売した場合を考えましょう。
この取引で、一区切りついたと言えるのはいつでしょうか?
うーん、、、売った4月1日?
そうですね。
販売し終えて一区切りついたといえます。
しかし、3月決算の会社は、3月31日を一区切りにして財務諸表を作成しなければなりません。
これはある意味、取引の途中にも関わらず無理やり一区切りをつけている、と言えます。
このように、会社にとって本当に一区切りかどうか関係なく、人為的に期間を区切って財務諸表を作成するというルールを会計期間の公準といいます。
「一区切りついたから財務諸表を作る」んじゃなくて、「財務諸表を作る日を一区切りにしてる」のか!
会計期間の公準がないとヤバい
もし、会計期間の公準がなければヤバいことがおきます
ここからヤバい会計学の真骨頂だね
会計期間の公準がない世界
部長:社長!我が社の財務諸表はいつ作成しましょうか?
社長:うーむ、一区切りついたタイミングで作成しよう。
部長:かしこまりました!
(10年後)
部長:社長…いまだに財務諸表を作成してないのですが、我が社の一区切りはいつつくんでしょうか?
社長:それがな。日々、事業活動を行っとるから、一区切りなんて一向に来ないんじゃ。
部長:そしたらいつまで経っても財務諸表は作れませんね…
社長:区切りつくとしたら、倒産したときかの!じゃから、倒産したら財務諸表作ろう!ワハハ!
部長:…
これはヤバい…
このように、会社は半永久的に事業活動をするので、一区切りなんてないのです。
一区切りをついたと言えるのは、会社を清算したとき(倒産したとき)です。
ということは、もし会計期間の公準がなければ、財務諸表を作るタイミングも来ないことになります。
財務諸表を作るためには、無理矢理、一区切りを作らないといけない…
これが会計期間の公準の存在する理由なのです。
会計期間の公準の使い方
会計期間の公準を知ると、1つ大事な視点が身につきます。
それは、すべての財務諸表は途中経過に過ぎないということです。
確かに、決算日で会計期間を無理やり区切るってことは、財務諸表は途中経過ってことだね。でも、それがどう役立つの?
途中経過であるという視点は、決算整理仕訳の理解につながります。
なぜなら、すべての決算整理仕訳は「財務諸表は途中経過である」という点をベースにして行われているからです。
売上原価の算定(期末在庫の計上)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
繰越商品 | ×× | 仕入 | ×× |
もし、一区切りつけてから財務諸表を作れるなら、仕入れた商品をすべて売り切ってから財務諸表作ればいいのです。
売り切ってから財務諸表を作れるなら、期末在庫の計上という決算整理仕訳は不要です。
▼
しかし、実際には「仕入れたけど売ってない」という段階で財務諸表を作らなきゃいけません。
そこで、決算で「期末在庫の計上」の仕訳をして、仕入(費用)を取り消して、在庫を計上する必要があるのです。
費用の見越し(未払費用の計上)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
費用 | ×× | 未払費用 | ×× |
もし、一区切りつけてから財務諸表を作れるなら、費用を支払ってから財務諸表を作ればいいのです。
そうすれば上記の決算整理仕訳は不要です。
▼
しかし、実際の決算日は支払日に関係なく決められています。
そのため、支払日よりも先に決算日がやってきた場合には、「役務の提供を受けたけど、まだ料金は支払っていない」という段階で財務諸表を作らなきゃいけないのです。
そのため、決算で費用の見越し計上をする必要があるのです。
このように会計期間の公準を知っておくと、決算整理仕訳の必要性に納得感を得ることができるようになります。
この納得感が、決算整理仕訳の理解につながります。
最後にボブから一言
決算整理仕訳が必要な理由は、決算日が取引の途中でやってくるからなんだ!
会計期間の公準とは、会計期間は人為的に区切らないといけない、という会計の大前提のこと
コメント