連結税効果、下から見るか上から見るか(短答式試験を終えて)

先週の日曜日、公認会計士試験がありました。
受験されたみなさま、本当にお疲れ様です!

さて、今回のボーダー予想ですが、なんと「78%or79%」と非常に高くなっています。
(自分の知る限り、過去最高です)

財務会計論だけ取り出してみても「財務では150点(75%)は正解したく、もし150点を下回るようなら他の科目で挽回しないとボーダーに届かない」という回でした。

例年の試験では、財務150点は高得点といえる点数ですが、今回は150点でようやくボーダーレベル、160点を超えてようやく「少し差を付けられたかな」という回となりました。

このように聞くと、「厳しすぎる、どんだけ難化したんだ…」と感じてしまいます。

しかし、問題の難易度を見ると、意外とそうでもなかったりします。

財務会計論全体で、Cランク(正答が難しい問題)は2問だけで、残りはどれも正答できるような問題。なので、150点は十分に現実的な点数です。むしろ正解できそうな問題を指折り数えてみると、180点を超えるというレベル感の問題です。

このため、150点という見かけ上の厳しいイメージに対し、実際には十分達成可能な数字ではあります。

一応。

「一応」とつけたのは、あくまでも上記は、机上の計算だからです。

実際、180点超えがたくさんいるか?と言えばそうではありません。

本試験では、緊張感や焦り、疲れなどで思わぬミスをしてしまうため、180点はかなり高い壁です。

実際のところは「理論値は180点。そこからミスを3つ4つにおさえられれば150点が取れる」というイメージです。

財務会計は1問8点なので、ミスが少し重なると簡単に140点、130点と手痛い点数になってしまいます。

今回に限った話ではありませんが、取れる問題を落とすことは致命的です。多少のミスはしょうがないにしても、如何にミスを最小限におさえられるかが合否の分かれ目といえるでしょう。

次の12月短答に向けて勉強する方は、取れる問題をミスなく確実に正解できる実力を養うことを意識して勉強すべきです。

ここで大事な視点は、

普段の復習や答練に比べて、本試験時の緊張感は相当なものである

という点です。普段の勉強机でリラックスしながら解くのとはわけが違います。人生をかけた緊張感高まる試験。その「高い緊張感の中でも、ミスをしない実力」をつけることが大切なのです。

  •  リラックスしていれば解ける
  •  本試験時の緊張感の中でも解ける

例えば、問題21の連結税効果を考えてみます。

(問題は公認会計士・監査審査会より)

連結税効果といえば、「投資に係る一時差異」、「税率変更」、「親子の税率の違い」といった難しい論点も多いですが、この問題はそういったことは一切なく、すごく単純な問題です。難易度もAとしています。

しかし、正答率は50%程度しかありませんでした。誤って選択肢1を選んだ方が約20%もおり、これは「法人税等調整額の借方・貸方を逆にする」という単純なミスをした場合の解答です。

法人税等調整額の貸借を間違えるというのは基本的なミスですが、緊張感や疲れがあると、このようなミスが出やすいのも事実です。

しかし、そのちょっとしたミスが命取りになるのが短答式試験。

この問題を通じて「高い緊張感の中でも、ミスをしない実力」の重要性を痛感します。

「高い緊張感の中でもミスしない実力」つける1つの方法は、徹底的な基礎固めです。

「徹底的」のレベルは、「その論点を、上から見下ろせるレベルになるまで」です。

もし「連結税効果苦手だな…」とか「あまり自信がないな」という場合、
その論点を下から見上げ、圧倒されているイメージです。

この場合には、戦う前から怖じ気づけいてしまっており、いざ実際に本試験で税効果を目にすると、「うわ、出ちゃった…解けるかな」となります。

このような弱腰では、実力を発揮できるわけありません。凡ミスが起きるのも当然です。

逆に、「連結税効果はもう大丈夫!ドンとこい」と上から見下ろせるほどの自信がある状態になっていれば、
「お!連結税効果か。どんな問題だ…ふむふむ、分量は多く見えるけどすごく簡単な問題だ。法人税等調整額の貸借だけは気をつけよう」
と、実力を発揮できます。

このように、本試験で実力を出し切るためには、上から見下ろすことができるくらいまでレベルアップする必要がああるのです。

「一応解けるようにはなったけど、自信がない。出たらやだな」

みたいなレベル感だと、復習としては甘いのです。

緊張感がある本試験においても、ミスなく解けるようにするために、圧倒的な自信をつけましょう。

「連結税効果、本試験で出てこい!」

と、思えるようになるレベルを目指して各論点の復習をやるようにしてください。

  •  一応解けるようにはなったけど、本試験で出たらやだな。
  •  本試験でこの論点出てこい!

(本記事は、某映画とは何も関係ありません)

(最後にひとり言)
「問題がそこまで難しくない」という点でいえば、勉強した成果を発揮しやすい試験と言えるから、いい傾向だなと思うけど、ただ一方で、配点8点では1問の重みがありすぎて、受験生的にはかなりシビアすぎる…問題の難易度はこのままで、問題数を増やして、1問の配点を5,6点とかにしてくれればちょうどよい感じになりそうな気がするな〜

 おまけ 

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