会計ノーツの公式Twitterはこちら

仕掛研究開発費について、連結と持分法ではどう違う?

n

登川 雄太(nobocpa

CPA会計学院 公認会計士講座 講師

本記事は、公認会計士試験(平成30年論文式試験)を参考に作成しました。

具体的には、仕掛研究開発費を以下のように扱う問題でした。

  • 連結子会社は評価差額とする
  • 持分法適用会社は評価差額としない

本記事はこれを「正」として解説をしますが、
明文規定がない論点であるため必ず正しいとは限りません。

あくまでも受験上はこう出題された、というものとしてお読み下さい。

公認会計士試験_平成30年論文式試験_会計学_第5問_問題2

仕掛研究開発費(研究開発の途中段階の成果)について、連結と持分法ではどう違う?

 

連結では、識別可能性の要件を満たす限り、支配獲得日の時価により資産計上する(連結上の評価差額になる)。

持分法では、資産計上しない(評価差額にならない)。

解説
具体例仕掛研究開発費

  • P社はA社の株式を?%取得した
  • 取得時におけるA社の研究開発の時価は100である

A社が「連結子会社」となった場合と「持分法適用関連会社」となった場合における、研究開発100の取り扱いは?

A社が子会社となった場合、100は連結上資産計上します
対して、A社が持分法となった場合、資産計上しません

このように、連結と持分法では取り扱いが異なります。この点を理解するためには、企業結合の基準を理解する必要があります。

企業結合に関する会計基準では、識別可能性の要件を満たす限り、その企業結合日における時価に基づいて資産として計上することになっています。

これをすごく簡単にいえば、P社がA社の研究開発に価値があると判断してA社を合併したなら、その研究開発は資産計上しましょうということです。

つまり、合併においては企業結合の基準に従い、被合併会社の研究開発は資産計上されるのです。

この処理は企業結合会計の規定のものですが、企業結合会計と連結会計はどちらも他の企業の支配の獲得という点で共通しているため、企業結合の会計処理は連結でも適用されます

よって、連結では、識別可能性の要件を満たす限り、支配獲得日の時価により資産計上することになるのです。

対して、持分法は支配の獲得ではありません。そのため、企業結合会計は適用されない結果、研究開発費等の会計基準のとおり、研究開発費は資産計上できません

このように、連結と持分法は支配の有無という点で企業結合の基準が適用されるのか否かが異なるので注意が必要です。

 

本記事は、公認会計士試験平成30年論文式試験会計学第5問問題2を参考に作成しました。

コメント

  1. 西村 より:

    持分法の場合も連結と同様にのれん(投資差額)を計算すると思うのですが、この場合ののれんはPPA(取得原価配分)を行った上での狭義ののれんとなるのでしょうか?
    それとも、PPAしないで広義ののれんをベースに償却額(持分法による投資損益のマイナス)を計上するのでしょうか?

    • 登川 雄太 nobo(登川雄太) より:

      コメントありがとうございます。
      実務上はPPAをやることもあるという話を聞いてますが、基準上は関連会社の仕掛研究開発費は認識しないというものになっています(と私は解釈しています)。また、本記事の内容は公認会計士試験を題材にしていますが、ASBJの公式な見解ではありませんので、ご注意下さい。

  2. あぎー より:

    2016年CPA卒業生です。その節は大変お世話になりました。お忙しいところ誠に恐縮ですが、気になって仕方なく以下質問させて頂きました。

    持分法の追加取得の際にPPAを行い単体で非計上の無形資産を持分法上評価差額として認識するべきものと考えておりました。
    根拠としては、持分法基準上、持分法被投資会社の財務諸表の適正な修正は連結子会社と原則同様とされている点にあります(基準8項)。

    もし宜しければ、以上を踏まえ、以下2点につきお考えをご教示下さいますでしょうか。
    1.支配の獲得か持分の取得かの区別により、時価評価の範囲が異なる旨が言及されておりますが、これらが時価評価の範囲に影響を与えると考える理由をご教示ください。
    2.記事本文の通り、企業結合において識別される資産に関して研究開発費基準は適用除外され、連結と企業結合は基本的に同一の処理を行う旨は基準に明記がありますが、これと同様に持分法基準8項を適用し、持分法被投資会社の財務諸表も同様に扱うという解釈を行って会計処理を行うことは誤りと言えますでしょうか。
    先生のお考えをご教示頂けますと幸いです。
    どうぞ宜しくお願い致します。

    • 登川 雄太 nobo(登川雄太) より:

      お久しぶりです!!!
      お元気ですか?(こんなとこで言うのもなんだけど笑)

      自分の論理構成としては、

      1.公認会計士試験において、「連結は仕掛研究開発費を評価差額とし、持分法は評価差額にしない」という点が計算・理論ともに出題された。

      2.会計士試験を正とした場合に、基準解釈は本記事のようになる(と自分は解釈している)

      という感じです。

      明文規定がない以上あぎーさんご指摘のとおりの解釈もできると思います。
      実際、知人の実務家にも聞いたところ持分法でもやっていると聞きました。

      ※記事に注意書きを加えておきます。

      • あぎー より:

        お久しぶりです。元気にやっております!

        解釈次第ということなのですね
        作問者の解釈は気になるところです。

        私もまさに実務で持分法のPPAがトピックとなっており、つい質問してしまいました。
        お忙しいところご回答いただき、ありがとうございました。
        大変勉強になりました。

        • 登川 雄太 nobo(登川雄太) より:

          いえいえ〜、コメントもらえて嬉しかったです!

          受験レベルを超えた部分は、実務家にはかなわないので、
          逆にもし、何かわかったらぜひ教えて下さい笑

          あと、ごくたまに、あぎーさんの駅前のスタバで作業したりもしているので、
          もし見かけたらよろしくお願いします笑
          (実は、朝に見かけたことあります汗)

  3. あぎー より:

    実は僕も外からお見かけしたことあります笑
    スタバよく使うので次はお声かけします!

免責事項 当サイトは管理人による個人サイトであり、利用者に対して個々の状況に応じた専門的アドバイスを提供するものではありません(具体的なご相談は、各種専門家にお問い合わせください)。従って、当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。また、当サイトの内容は管理人の個人的な見解であり、CPA会計学院の公式見解ではないことをお断り申し上げます。
タイトルとURLをコピーしました