簿記の基本である、借方と貸方について解説します。
左右に分けるのが簿記の基本
簿記の大きな特徴として、様々なことを「左右に分ける」という点が挙げられます。

「左右に分ける」は、簿記の根幹と言えるくらい大事な考え方なので、最終的にはしっかりマスターしましょう。

具体例を3つ用意しました。
①取引を記録する際に左右に分ける
簿記では、取引を記録する際に、左右に分けます。
- 当社は、借金をして現金100円を手に入れた。
この取引を普通に捉えると、「この会社は100円借金した」で終わってしまいますが、簿記では違います。
簿記では、この取引を次のように2つの側面で捉えます。
左側 | 右側 |
---|---|
現金が増加した | 返済義務が増えた |
これを、「取引の2面性に着目する」といいます。


②増減の計算をする際に左右に分ける
簿記では、金額の増減額を計算する際も、左右に分けて計算します。
<当期の現金の増減>
- 現金が1000増えた
- 現金が500増えた
- 現金が600減った
- 現金が1000増えた
- 現金が300減った
この現金の増減を普通に計算すると、次のようになるかと思います。
しかし、簿記では左右にわけて計算します。
左側(増加) | 右側(減少) |
---|---|
1000 | 600 |
500 | 300 |
1000 |
このように、増加(足し算)と減少(引き算)を左右に分けて別々に計算するのです。
上記の場合、増加(左側)の合計は2500、減少(右側)の合計は900です。
そして、最後にこの左右の差額を計算し、現金の金額は1600(=2500ー900)と算定します。


③財務諸表は左右に分ける
財務諸表も左右に分かれます。

左が借方で、右が貸方
このように、多くの場面で左と右にわけていくのですが、簿記では左・右とはいいません。
。

借方が左側のことで、貸方が右側のことです。("方"を省略して(借)と(貸)と表現することもあります)

また、左右のことを「貸借(たいしゃく)」といいます。


なぜ英語では左のことをleftというのか?を考えないのと同じように、借方も意味は考えずに覚えるようにしましょう。
覚え方は簡単で、「ひらがなで書く」です。

ひらがなにすると、「り」は左側を、「し」は右側を指していることがわかります。
このように、迷ったらひらがなで書くようにしましょう。
「"借"金と左側は関係ある」と考えると、とても混乱することになります。借方・貸方に特に意味はないと思って、単に覚えるようにしましょう。
でも、意味が知りたいという方はこちら↓
まとめ
以上です。
最後にまとめておきます。
- 簿記では、取引の2面性に着目して、左と右にわけて記録する
- 簿記では、金額の増減を計算する際に、左と右にわけて計算する
- 簿記では、財務諸表を左と右にわける
- 左のことを借方、右のことを貸方という
コメント