繰延資産…
今でこそ簿記2級の試験範囲から除外されてるが、平成28年度までは2級の論点だった。
そのため、簿記2級合格を目指すには避けては通れない論点であり、全2級受験生が勉強していた。
▼
繰延資産…
会計処理自体はとてもシンプルだ。
繰延資産の会計処理
本来は費用であるが、限定5項目については資産計上できる(その後、償却する)
しかし、当時多くの受講生が頭を悩ませていた。
(かく言う僕も、そのうちの1人)
その理由は、繰延資産という名前にある。
「繰延資産」
ひらがなにすると、
「くりのべしさん」
名前から意味を考えていこうとすると、
「くりのべしさん」
↓
「繰り延べた資産」
↓
「資産を繰り延べたのか…?」
↓
「でも、繰延資産は、本来費用…?」
↓
混乱
▼
繰延資産…
その中身は「費用を繰り延べることで、資産計上されたもの」。
つまり、繰り延べているのは資産ではなく、費用なのだ。
正体は繰延費用であるのに、名称が繰延資産となっている。
この点が、受験生を大きく混乱させた。
なので混乱した受講生には、次のように説明すると納得してくれた。
「繰延資産は、費用を繰り延べることにより計上される資産だよ。だから、繰延費用として理解するとわかりやすいよ」
▼
また、繰延費用であるべきというのは「前払費用」と比較するとより明確になる。
繰延資産と前払費用は、「費用を資産計上する」という点で共通するが、前払費用を前払資産とは言わない。
前払費用は「前払費用」である。
「繰延資産」が「繰延費用」という名称にならなかった背景は知らないが、少なくとも受験生目線で言えば、繰延費用の方が理解がしやすいのは間違いないと思う。
(なので、勉強する際は「繰延費用」として理解しよう)
▼
ちなみに、簿記2級から除外された理由は次のように書かれている。
繰延資産については、(中略)、現実には貸借対照表に繰延資産が計上されることは極めて稀であるため相対的な重要性は乏しいと考えられる
商工会議所簿記検定試験出題区分表の改定等について(平成27年4月24日)
受験生を悩ませるうえ、実務で登場する機会もほとんどないというやっかいな論点だったというわけだ。
簿記2級の範囲から除外されたのも納得。
コメント