- 契約資産とはなんですか?
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収益を認識したものの、対価を受け取るためには、時の経過以外の条件を満たす必要がある場合に計上される資産です
解説
具体例を用いて説明します。
① 商品X(A社との取引)
- 当社はA社に商品Xを100円で販売する契約を締結し、本日、商品Xを引き渡した。
- 代金は1ヶ月後に受け取ることになっている。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 100 | 売上 | 100 |
② 商品Y(B社との取引)
- 当社はB社に商品Yと商品Zをそれぞれ100円で販売する契約を締結し、本日、商品Yを引き渡した。
- 代金は商品Zを引き渡すまで留保され、商品Zを引き渡した1ヶ月後に受け取ることになっている。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
契約資産 | 100 | 売上 | 100 |
②の取引では、契約資産を計上してる!
2つの取引の共通点は次の通りです。
- どちらも商品を引き渡している
- 代金はまだ受け取っていない
よって、どちらのケースにおいても、売上を計上し、相手勘定として現金以外の資産を計上することになります。
うんうん
ここで考えたいのは、借方の勘定科目です。
①と②は以下の点で、状況が異なります。
代金を受け取るには、
①商品X:支払期日を待つだけ
②商品Y:商品Zを引き渡す+支払期日を待つ
あとは支払期日を待つだけという①に対し、
②ではそれ以外の条件が残っているんじゃ
この違いが、借方の勘定科目の違いとして表れます。
支払期日を待つだけという状態の場合、対価を受け取る法的請求権があります。
この場合は、いつも通り「売掛金」を計上します。
一方、代金を受け取るためにまだやるべきことが残ってる場合には、法的請求権は有していないので、勘定科目をかえます。
それが「契約資産」です。
- ①支払期日を待つだけ(商品X)
-
売掛金を計上する
- ②他の条件あり(商品Y)
-
契約資産を計上する
ちなみにこのような法的請求権(売掛金が計上される場合)を、収益認識基準では「顧客との契約から生じた債権」と言うんじゃ
契約資産が計上されるケースは他にどういうものがあるの?
契約資産が計上される例として、工事契約が該当します。
- 工事代金を請求する条件→完成した工事物件を引き渡す必要あり
- 工事収益の認識方法→工事の進捗度に応じて認識
このような場合、収益の認識に応じて契約資産が計上されます。
「契約資産」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利(ただし、顧客との契約から生じた債権を除く。)をいう。
収益認識に関する会計基準 10項
「顧客との契約から生じた債権」とは、企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に 受け取る対価に対する企業の権利のうち無条件のもの(すなわち、対価に対する法的な請求権)をいう。
収益認識に関する会計基準 12項
コメント
コメント一覧 (1件)
コメント失礼いたします。
例題②のように契約資産を用いる仕訳は、旧収益認識基準ではどのように仕訳を切っていたのでしょうか?保留代金は売掛金として処理していたのでしょうか?