他の勉強では主人公という概念はないですが、簿記には例外的に主人公がいます。
それは「会社」です。
簿記の主人公は会社?
簿記の問題での主語は「当社」なんじゃ。例えば、「当社は商品を仕入れた」という問題文になるんじゃよ
簿記をスムーズに勉強するためには、まず主人公である会社自体を知っておくことが必要です。
具体的には、「会社」と「株主」と「お金」の関係です。
そこで今回は、簿記の勉強のイントロダクションとして「会社と株主とお金」について解説をします。
企業と会社の違い
簿記を勉強するうえで、「企業」と「会社(株式会社)」を区別する必要はありません。基本的に「企業=会社」と考えて問題ないです。
そのうえで、企業と会社の違いを示すと以下のようになります。
会社(株式会社)と個人商店を合わせて、企業と言います。
会社と個人商店の違いは、規模の大きさです。
- 会社は、多数の人から多額のお金を集める
- 個人商店は、会社よりも小規模な感じ
日商簿記検定では、主に会社が対象になるため、本記事では会社(株式会社)を前提に説明をします。
会社と株主とお金の流れ
会社、株主、お金の関係を知るには、「会社を設立してから、1年後に利益を稼ぐまで」の流れを理解することが必要です。
よって、会社の1年間に注目して説明をしていきます。
会社の設立
会社は便利な新製品や新サービスを生み出してくれますが、何をするにしてもお金が必要です。
従業員に給料払ったり、商品を仕入れたり、店舗の家賃を支払ったり…お金がないと何もできないね
そのため、会社はまず資金を調達する(お金を集める)ところから始まります。
その資金の提供者となるのが株主です。
会社はまず株主から事業のための資金をもらい、そのお金を使って事業を始めていくのです。
株主からお金をもらうことを「株主から出資を受ける」と言い、また、この出資された額が事業の元となるため「元手」と言うんじゃ
株主が出資をしてくれるから会社は事業が始められる、ってわけね
会社設立時に株主から出資を受ける(お金をもらう)
株式
- 会社は株主に対して、出資の割合に応じて「株式」を発行します。
- 株式は出資をしてくれた証明書の役割をもちます。
会社の1年間(事業活動)
会社は株主からもらったお金をもとに事業を始めます。
- 家賃の支払い
- 商品の仕入れ
- 商品の販売
- 給料の支払い
例えば、このような取引を行い利益を稼いでいきます。
利益を稼ぐというのは、ざっくり言えば「お金を増やす」ことです。
例えば、株主からお金を100もらって、1年後にそれが150になっていれば、50の利益を稼いだことになります。
厳密には利益とお金の増加額は同じではないんじゃが、今の段階ではこのイメージでOKじゃ
株主からもらったお金をもとに利益を稼ぐ(お金を増やす)
会社設立の1年後
配当金
株主から出資された金額(元手)には以下の特徴があります。
- 会社は、元手の金額について株主に返済する必要はない
- 会社は、元手の金額を事業のために自由に使える
- その代わり、会社が稼いだ金額(利益)は株主のもの
出資された金額は返済不要なのでリスクをとった行動ができます。(もし返済が必要なら思い切った行動はなかなかとれませんが、返済不要であるため思い切った行動がとれます)
ただし、その会社の稼ぎだしたお金は株主のものであるため、会社は儲けた金額を株主に分配します。
この分配するお金のことを「配当金」と言います。
株主が会社に対して出資するのは、この配当金を受け取るためなんだね
会社っていうのは、株主のために利益を稼ぐ存在という感じね
ルーシーの言うとおり、会社というのは株主のためにあるんじゃ。株主は会社のオーナー(所有者)とも言われるんじゃ
株主総会
利益は株主のものですが、稼いだ全額を配当するわけではありません。
もし仮に、
- 儲けた金額を使って、店舗を増やすなど事業を拡大する
- 翌期以降の利益がさらに増える
という状況ならば、株主に配当するよりも、会社が事業のために使った方が良いと言えます。
このため、儲けた金額は、その使い道を以下の2つから選ぶことになります。
- 株主に配当金を支払う
- 配当金を払わずに会社事業に使う
この利益の使い道は株主自身が決めます。
ただし、株主はたくさんいるため、株主たちが会議を行って、その会議で決めていきます。
この会議を株主総会と言い、通常は、1年に1回開催されます。
なお、株主総会では配当金だけでなく、会社の基本的な事項(経営陣の報酬など)も決めます。
- 会社は株主のお金を運用する存在
- 元手をベースにして増やしたお金は株主のものであり、その使い道は株主総会で株主が決める
資本多数決
株主総会での決定は、多数決により行うのですが、この多数決は「資本多数決」と呼ばれます。
資本多数決の場合、持っている株式数が投票権の数になります。
つまり、多く出資をするほど、会社への影響力が強くなることになります。
まとめ
会社と株主とお金の関係の説明は以上です。
本記事の内容をまとめると以下のようになります。
- 会社の設立時に、株主からお金をもらう
- 会社が事業にお金を投資する
- 事業を行い、お金を増やす(利益を稼ぐ)
- 増やしたお金は株主が使い道を決定する
このように、お金が会社と株主の間をぐるぐる回るというイメージになります。
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