今回は、初めて包括利益を勉強する方向けに、「包括利益の考え方」をスライド形式で解説します!
本記事で説明しないこと
本記事の目標は包括利益の大枠をおさえることです。
「包括利益ってシンプルなんだ!」と感じてもらえるように、あえて内容はしぼっています。
そのため「包括利益的には大事だけど、最初の理解としては不要な部分」は意図的に説明していません。
具体的には主に以下の3点です。
- 純利益と包括利益の関係
- その他の包括利益
- 組替調整
これらは別の記事で説明をします。
最初に

まず初めに、今回学ぶ4つのポイントじゃ


この4つのポイントをおさえることが大事なのね、がんばるわ!
ポイント1:包括利益はB/Sベース

貸借対照表がベース?

そうじゃ。「包括利益は貸借対照表ベースの利益」これが最大の特徴じゃ。


前期末の純資産が1,000で、当期末が1,400なら包括利益は400ってわけね。意外と単純だわ

そのとおりじゃ。包括利益は特に難しくないのじゃ

でも、利益って収益と費用の差額で計算するイメージだったけど、包括利益はそうじゃないのね

そうなんじゃ!フローには着目せず、ストックベースの利益、それが包括利益なんじゃ!収益と費用に着目しなくても計算できる分だけ、算定自体は簡単なんじゃな
ポイント2:その他有価証券評価差額金も含まれる


純資産にはその他有価証券評価差額金が含まれるから、その増加額200も包括利益に含まれるのね

包括利益の金額は、「いくら儲かったか」ではなく、「いくら純資産が増加したか」なので、その他有価証券の含み益も包括利益を構成するんじゃ。

その他有価証券評価差額金も含まれるってことは、繰延ヘッジ損益とかも?

うむ。その他有価証券評価差額金に関わらず、評価・換算差額等の増減額は包括利益になるぞ
ポイント3:持分所有者との直接的な取引は含まれない


持分所有者ってのは株主と新株予約権者のことじゃ

資本取引が純利益に含まれないのと同じように、持分所有者との取引は包括利益に含まれないのね
ポイント4:非支配株主持分への按分はしない

いま現在、包括利益は個別財務諸表では開示対象になっておらず、連結でのみ開示されるんじゃ

連結ってことは、非支配株主持分への按分が必要そうだけど、、、

それが、そうじゃないんじゃな


包括利益は「純資産がいくら増加したか」という金額なので、株主ごとの帰属先も気にせんのじゃ

なるほど、本当にB/Sの純資産の増減に着目するってことね
最後に

今回は以上じゃ。最後にもう一度、今回のまとめを確認しておこう


包括利益のイメージがついたわ!

これが包括利益の第1歩じゃ。まだまだ奥が深いんじゃが、それはまた別の機会に説明しようかの
(続く)
コメント
コメント一覧 (5件)
登川先生のテキストで勉強させていただいております。連結損益及び包括利益計算書について、質問があります。
親会社株主に帰属する当期純利益の中に、親会社の当期純利益からのれん償却費を除く他に、「取得後剰余金」というものを加減しているようなのですが、これは一体なんでしょうか?
子会社の当期純利益に親会社の持分割合を乗じた額とはまた違っていて、混乱しています。
登川先生、いつも楽しく記事を拝見させて頂いております。一点質問なのですが、そもそもなぜ包括利益を算定する必要があるのでしょうか?根本的な質問すぎて申し訳ありません。ご回答頂けると幸いです。
包括利益の基準の21項に記載があるので、見てみてください。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/hyouji-hokatu_2012_1-1.pdf
わかりやすかったです!
組み替え調整についても是非解説をお願いします!
ありがとうございます!
組替調整はリクエスト多く頂いているので、
いつかはアップしたい…と思っています