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【キャッシュ・フロー見積法】なぜ、貸倒引当金の取崩額を受取利息とするのか?

会計QA貸倒引当金
このノーツを書いた人
登川 雄太

CPA会計学院で公認会計士講座の講師をしています。会計が大好きで、どうすればわかりやすく教えられるかを日々考えています。
(略歴)慶應高校→慶應大学(在学中に公認会計士試験合格)→監査法人トーマツ→CPA

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キャッシュ・フロー見積法で、貸倒引当金を取り崩す際の相手勘定が「受取利息」となるのはなぜですか?

 

債権の、時の経過による増加額を表しているからです。
解説
これ以降、キャッシュ・フロー見積法を「CF見積法」と表現します。

下記の具体例を用いていきましょう。

具体例CF見積法の基本例題

  • A社に1000の貸付を行っている。利率は10%、返済期日は当期末から3年後である。
  • 当期末にA社の財政状態が悪化したため、利率を6%に引き下げた。
  • 貸倒懸念債権に該当するため、貸倒引当金はCF見積法により算定する。
キャッシュフロー見積法の例題

各年度の仕訳

・当期末
貸倒引当金繰入99/貸倒引当金99

・1年後
貸倒引当金30/受取利息30

・2年後
貸倒引当金33/受取利息33

・3年後
貸倒引当金36/受取利息36

このように、貸倒引当金を取り崩した相手勘定は、原則として受取利息とします。

なぜ受取利息にするのか?
この理由は「貸倒引当金を取り崩している」という観点では理解できません

キャッシュ・フロー見積法で受取利息を使う理由の誤った理解

「債権の帳簿価額が時の経過により増加している」という観点で理解しましょう。

キャッシュ・フロー見積法で受取利息を使う正しい理解

CF見積法は、まず現在価値を求め、そのうえで貸倒引当金を算定する方法です。

すなわち、CF見積法の本質は現在価値を債権の帳簿価額とする点にあるのです。

そのため、注目すべきは貸倒引当金ではなく、債権の帳簿価額です。

帳簿価額に着目すると、時の経過により増加していることがわかります。

この増加額は利息です。

なぜなら、時の経過による増加額だからです。

具体例時の経過による増加の例

  • 社債を割引価額で取得した場合の償却額(額面金額と取得価額の差額)
  • 資産除去債務の利息費用
  • 退職給付債務の利息費用

これらは時の経過による増加額であり、どれも利息と捉えています。

つまり、利息は、時の経過による増加額のことなのです。

CF見積法も同じです。

時の経過により、現在価値が次第に債権金額に近づいていきます。
これは、まさしく社債を取得した場合と同じですね。(償却原価法の会計処理)

社債の償却額を利息にするのと同じく、CF見積法における帳簿価額の増加額も利息にするのです。

社債の償却原価法と同じである点を強調すると、
理解の方法としては、貸倒引当金を使用せずに直接法的な仕訳の方がイメージしやすいと思います。

各年度の仕訳

・当期末
貸倒引当金繰入99/貸付金99

・1年後
貸付金30/受取利息30

・2年後
貸付金33/受取利息33

・3年後
貸付金36/受取利息36

このようにみると、受取利息であることがしっくりきますね。

なお、受取利息ではなく「貸倒引当金戻入」で処理することも容認されていますが、
これは「帳簿価額が増加している点」ではなく、「貸倒引当金が減額した点」に着目している会計処理といえます。

貸倒引当金戻入を使用する方がシンプルで理解しやすいですが、理論上は受取利息の方が適切です。
そのため、原則として受取利息となっています。

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