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貸借対照表の基本を理解しよう!

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登川 雄太(nobocpa

CPA会計学院 公認会計士講座 講師

貸借対照表と損益計算書のうち、まずは貸借対照表から学習をしていきます。貸借対照表を理解することが損益計算書の理解につながりますので、きちんとマスターしましょう。

前後の記事

1.貸借対照表と財政状態

(1)貸借対照表のひな形

下記の表が貸借対照表です。

貸借対照表
これを読めるようになればいいんだね

ちなみに、これを簡略的に書くと次のようになります。

貸借対照表(簡略)

(2)貸借対照表のポイント

貸借対照表にはポイントが3つあります。

Point

  • 借方に資産、貸方には負債と資本(負債が上で、資本が下)
  • 借方と貸方の合計額は一致する
  • いつ時点の財政状態なのかを記載する(日付を明示する)

ポイントの1つ目に「借方に資産、貸方には負債と資本」とありますが、この位置が「3要素それぞれの定位置」である点をおさえておきましょう。

貸借対照表と資産、負債、資本の定位置
メモメモ

また、ポイント2つ目の「借方と貸方の合計額は一致する」を計算式にすると次のようになります。

資産の金額 = 負債の金額 + 資本の金額
上の貸借対照表でいうと、「資産900=負債300+資本600」ってことだね

(3) 財政状態とは

1つ前の記事では、

財政状態は簡単にいえば「いま、何をいくら持っているか」を示すこと

と説明しました。

もっと正確にいえば、貸方(右側)で資金の調達源泉を示し、借方(左側)で資金の運用状況を示すこと」が財政状態です。

・・・

今からこの点をちゃんと説明します。

と、その前に1点だけ。

「出資」と「借り入れ」の違いを知っておきましょう。

参考出資と借り入れ

出資とは、株主から元手としてお金をもらうことです。
また、借り入れとは、銀行からお金を借りることです。

どちらも会社が資金を集める手段ですが、出資の額は返済する必要がなく、借り入れた金額は返済する必要がある、という違いがあります。

貸借対照表が理解できる具体例

これから具体例を使って貸借対照表を理解していきます。

取引1.会社を設立し、資金調達した場合の貸借対照表

具体例取引1

  • 当社(A社)は、株主から現金500円の出資を受け設立された。
  • 設立と同時に、銀行から現金300円の借り入れを行った。
出資と借り入れ取引の図

会社設立直後の状況を貸借対照表で表現すると次のようになります。

設立直後の貸借対照表
なんとなくわかるけど、、、どういうことだろ…?

この貸借対照表について、手順を踏んで説明をします。

手順 1.大きなTの字を書き、借方と貸方にわける

大きなTの字を書き、中心線を境目に借方(左側)と貸方(右側)にわけます。

貸借対照表の作成手順1

このTの字が貸借対照表の原型です。借方は資金の運用形態(なにをもっているか)を表し、貸方は資金の調達源泉(どのように資金を調達したか)を表します。

貸借対照表の作成手順1-2

今回は、「合計800円を調達(→調達源泉)」して、「その800円を持っている(→運用形態)」ので、貸借(左右)に800円と記入します。

貸借対照表の作成手順1-3

手順2.貸方(資金の調達源泉)を2つにわける

資金の調達源泉(貸借対照表の貸方)は返済義務の有無により区別します。
貸方を2つにわけ、上側に返済義務のある金額を記入し、下側に返済義務のない金額を記入します。

貸借対照表の作成手順2

今回は、銀行から借り入れた300円は返済義務があるので上に書き、株主から出資を受けた500円は返済義務がないため下に書きます。

手順3.3要素を付す

貸借対照表の3つの欄にそれぞれ、資産、負債、資本という貸借対照表の3要素を付します。

3要素 意味
資産 会社が所有するもの
負債 調達額のうち、返済義務がある金額
資本 調達額のうち、返済義務がない金額
貸借対照表の作成手順3

手順4.勘定科目を付す

上記の貸借対照表では、「資産は具体的に何をもっているのか?」、「なぜ返済義務があるのか?」といった詳細がわかりません。そのため、金額に勘定科目を付します。

勘定科目 3要素 意味
現金 資産 お金(紙幣や硬貨)を意味する
借入金 負債 借り入れによる支払義務を意味する
資本金 資本 株主から出資を受けた額を意味する
設立直後の貸借対照表

これで、会社設立時の貸借対照表が完成です。

なるほど〜!借方ではいま持っている現金800円を表して、貸方ではその調達源泉として、返済義務のある300円と、元手の500円を表しているんだね

会社設立時の貸借対照表が理解できたら、続きをみていきましょう。

取引2.利益の獲得(商品売買)をした場合の貸借対照表

具体例取引2

  • 取引1の後、現金300円支払って商品を仕入れ、これを400円で売り上げ、現金を受け取った。

商品売買で100円儲かった(現金が100円増えた)という例ですね。

会社設立直後に持っていた現金は800円でした。商品売買で100円儲かったので、

いま持っている現金は900円!

そうですね。

では、商品売買前後の貸借対照表を確認してみましょう。

貸借対照表の利益による変化
借方(左側)では現金が100増えて、貸方(右側)では資本の繰越利益剰余金ってのが増えてる…繰越利益剰余金?
貸借対照表と利益

繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)は、次の手順で理解しましょう。

手順1.儲かったら資産と資本が増える

  • 商品売買により、資産(現金)が100円増加
  • この100円の調達源泉は利益(儲け)→利益は返済義務がない金額なので、資本が増加
繰越利益剰余金の説明

手順2.出資額と利益は区別する

出資を受けた金額と利益を稼いだ金額は、どちらも返済義務はありませんが、貸借対照表では区別して表示します。そのため、それぞれ別の勘定科目を付します。

勘定科目 3要素 意味
資本金 資本 株主から出資を受けた額を意味する
繰越利益剰余金 資本 利益の額を意味する
繰越利益剰余金の解説2
稼いだってのも、調達源泉の1つ。貸借対照表では、それを繰越利益剰余金という名前で表示するのか

繰越利益剰余金という名称は難しいですが、意味はシンプルなのです。

取引3.建物(資産)を取得した場合の貸借対照表

具体例取引3

  • 取引2の後、当社は現金200円を支払い、事務所用の「建物」を取得した。

これの取引前後の状況を貸借対照表で表現すると次のようになります。

資産の取得と貸借対照表

取引前には現金900円を持っていましたが、取引後は、現金700円と建物200円をもっています
もっているものが変化したため、資産の内訳が変化しました。

物を購入したら、現金は減るけど、買った物が増えるのか

また、貸借の合計金額を確認してみて下さい。借方(資産合計)は900円で、貸方(負債と資本の合計)も900円で一致しています。

このように、借方と貸方の合計額は常に一致するのです。

最後に確認

本記事の最初に紹介した貸借対照表を、もう一度確認してみましょう。

貸借対照表

本記事の目標は「この貸借対照表が読めるようになる」ことでした。

きっともう読めるようになったのではないでしょうか?

・・・わかった!
  • 借方(左側)で、現金700と建物200の合計900の資産を持っている。
  • そして、その900は、借金300、元手500、利益100という形で調達した。
ということを意味してるんだ!

そのとおりです。

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コメント

  1. たけし より:

    いつも丁寧かつわかりやすいく、大変参考にさせていただいてます!
    初歩的なご質問で申し訳ないのですが、株主変動計算書は税引後で表示されますが、貸借対照表は税引前の金額で表示されているのでしょうか。
    ご回答お願いいまします。

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